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【イベントレポート2】ファンディング&クラウドファンディングーNYと日本 

【Monozukuri Hub MeetUp 8/1】 ファンディング&クラウドファンディングーNYと日本 イベントレポート vol.2

8/1のイベントレポートは3回に分けて掲載予定。

今回は2回目である。京都で”ハードウェアの開発支援”をおこなっているMakers Boot Campは2016年8月1日、MTRL Kyotoで月一回のイベント「ものづくりハブミートアップ」をNYのFabFoundryと共催で開催した。今回は世界でのファンドとクラウドファンドの現状について講演やパネルディスカッション、懇親会と来場者は新しいテクノロジーのファンディング活動について理解を深めた。 【第2スピーカー:ジュリオ・テハ氏について】

ジュリオ・テハ氏(Julio Terra)はRockwell GroupのLABでインタラクティブインストレーションプロデューサーとして、IBM, Microsoft, Sprintといったデジタルマーケティングプログラムを管理していた。その後、ニューヨークのキックスターター(Kickstarter)のデザイン&テクノロジー部門ディレクター として、過去3年間でNebia, Pebble, Cubetto, PryntといったスタートアップのKickstarterプロジェクトを成功に導いた。 自身のバックグラウンドを紹介した後、ジュリオ・テハ氏は当日のテーマである「クラウドファンディングプラットフォームの活用」へと話を進めていった。 Kickstarterは2009年に設立されたアメリカの民間営利企業で、クリエイティブなプロジェクト計画している起業家等がクラウドファンディングによる資金調達を可能にするプラットフォームである。Kickstarterは様々なクリエーターにとって素晴らしいプラットフォームであり、ハードウェアスタートアップにとっても非常に重要なツールだ。テハ氏は、世界のテクノロジーイノベーションに貢献できるスタートアップになるためのポイントを三つ挙げた。

1.グローバルな視野を持つ

Kickstarterは、グローバルなプラットフォームである。支援者もクリエータも様々な国から参加している。よって、唯一の市場として国内に焦点を当てるべきではない。日本のスタートアップであるとしても、グローバルな視野を持つ必要がある。

2.クラウドファンディングキャンペーンの目的を知る

Kickstarterでプロジェクトを立ち上げた人達がプロジェクトを実行するために資金を使うこと、そして完成したプロジェクトが支援者の期待に沿う形になる保証は必ずしもあるとは言えない。また製作者が克服すべき技術的困難や必要な総コストを甘く見積もっていた場合には、資金調達が成功してもプロジェクト自体が失敗に終わる可能性もある。スタートアップは失敗のリスクを避けるためにキャンペーンの目的を知るべきだ。

3.プロトタイプやコミュニティの重要性

スタートアップが魅力的なユーザー体験を提供できない場合は、そのスタートアップはまだ準備ができているとは言えない。そのうえで、スタートアップは自分の製品の最も情熱的な支持者と設計プロセスを共有するべきだ。同時に、プロトタイプの設計プロセスやストーリーのシェアも大切であることを認識すべきである。スタートアップは「Kickstarterは、コミュニティを構築するための場所」であると考える必要がある。 グローバル時代のハードウェアスタートアップにとって「クラウドファンディングプラットフォームの活用」が非常に大きい意味を持つことを印象づけた、テハ氏のプレゼンテーションだった。 【第3スピーカー:ジェリー・ヤン氏について】 ジェリー・ヤン氏(Jerry Yang)は27か国、180ものスタートアップが集まるコミュニティーをサポートしているハードウェアクラブ(Hardware Club)のジェネラルパートナーである。ハードウェアクラブはスタートアップへの投資をおこなうと同時に製品化試作のサポートもおこなっているベンチャー企業である。ジェリー氏は台湾国立大学で電子工学の学士と修士、HEC ParisにてMBAを取得。台湾やシリコンバレーでエンジニアとしての経験がある国際的な人物である。 「スタートアップの製品が消費者の手元に届くまでに何が必要でしょうか?」という質問から、プレゼンテーション始まった。ジェリー氏は豊かなハードウェアへの投資経験から「Scaling to Dominance」をテーマに話を展開した。 「ハードウェアを作ることはとてもハードです。大手企業もベンチャーも同じ課題が起こりうります。それはそのハードウェア製品が売れるかどうか?と言う問題です。」 ジェリー氏によると、少し前に話題になった商品「スマートウォッチ」ブームで最も重要なのは、「大手企業もスタートアップも同じようにオリジナル製品を生産できる」ことだという。その場合に一番大事なのは拡張性:scalability (どうやって利益を得るのか)と防御力:defensibility (どうやって自分のビジネスを守るのか)ということである。「スタートアップのスケールはほぼ同じです、だからスタートアップが成功できるか否かはスタートアップ自身の防御力(ビジネスを守る力)によります。」ジェリー氏は具体的にスタートアップを守る四つの方法を挙げた。 1.スイッチング・コストSwitching cost 顧客がサービスを変更したときに大きなコスト(金銭的な費用に限らず、切り替えに伴って必要となる習熟や慣れに要する時間や心理的費用なども含まれる)を作り上げる方法がある。髙いスイッチング・コストが生じることは、ほかのサービスへの乗り換えを阻害するための囲い込みとなり得る。一つ有名な例としてNestに買収された防犯カメラスタートアップdropcamがある。 2.ユーザーエクスペリエンス Users’ experience 1)製品がストレスなく使える 2)やりたかったことが簡単に実現できる 3)製品を使って業務を楽しくおこなえる、といった「満足感」「感動」を与えるユーザーエクスペリエンスを消費者は製品の価値として評価をするのである。 3.ネットワーク効果 Network Effect ネットワーク効果とは、同じ製品・サービスを利用するユーザが増えると、それ自体の効用や価値が高まる効果のことをいう。人々は、同じコミュニティ内の同じ製品を使用したいと考えており、例を挙げるならば若者人気あるのスナップチャット(snap chat)を挙げることができる。 4.ブランディング Branding ブランディングは企業価値を上げることに直接関わってくる。ここでいう企業価値とは、金銭や数値では簡単には表現しにくい、模倣不可能なものである。例えば、探検での撮影向けのヘルメットカメラといえば、GoProが一番始めに思い浮かぶというようなことである。こうした目に見えない、消費者の心にイメージとして蓄積されていくもの、心理的な企業価値がブランドそのものであり、企業イメージやプロダクトに付加価値を加えることで、消費者に対してその認識価値を上げることがブランディングの役割となる。ジェリー氏のプレゼンテーションは非常に具体的で、各企業やスタットアップがすぐにでも応用できそうな貴重なノウハウが詰まった講演であった。 【続く】 *次回は来週月曜日に投稿予定*

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