日刊工業新聞寄稿文:
スタートアップと製造業を繋ぐVC、きっかけはシリコンバレーで見た日本のITベンチャーの不遇|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

2020年10月15日の日刊工業新聞「グローバルの眼」に掲載された当社牧野の記事を再掲します。
※本記事の転載は日刊工業新聞の許諾を得ています。
URL: スタートアップと製造業を繋ぐVC、きっかけはシリコンバレーで見た日本のITベンチャーの不遇|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社



私は製造業に特化したベンチャー・キャピタルを2015年から運営しています。
京都と米ニューヨークを拠点に、ものづくりスタートアップ企業への投資と、日本の製造業ネットワークを使った試作開発を支援しています。
製造業に特化したベンチャーキャピタルは、世界的に見ても、まれな存在ですが、既に30社以上を支援しています。中には大手メーカーとの協業などを通じて、急成長を遂げた投資先もあります。
なぜ製造業に特化しようと思ったのか、それは13年前にさかのぼります。

当時、日本では「ヒルズ族」と呼ばれるような新興IT企業が台頭していましたが、海外に進出しても、国内のような結果が出せずに撤退するケースが相次いでいました。

グーグルやフェイスブックがグローバルITベンチャーとして急成長しているのに、日本のITベンチャーはなぜ結果が出せないのだろう—当時、京都の大手ベンチャーキャピタルに入社したばかりの私は、その理由を自分の目で確かめるべく、会社を休んで自費でシリコンバレーに飛びました。

そこで見たのは、目を覆いたくなるような事実でした。日本のIT企業がシリコンバレーのコミュニティに入り込めず、完全に蚊帳の外に追いやられていました。
日本からスタートアップ企業を連れて、現地の投資家に紹介しても全く興味を持ってもらえませんでした。日本はバッシングされるどころか、彼らの視野にすら入っていなかったのです。
国内にいては知ることのなかった日本の姿がそこにはありました。

しかし、アメリカの投資家やベンチャーが日本に対して、唯一評価していたものがありました。それが製造業の技術力でした。
京都には時価総額1兆円を超える製造業大手を頂点に、優れた技術を持った中小企業のサプライチェーンがあります。一方でベンチャー企業にはモノを作るノウハウや、品質を上げるための知見が少ないため、工場とのやりとりに苦労していることを知りました。
この両者をつなぐことができれば、シリコンバレーだけでなく、世界中に日本の存在感を再び示すことができると考えたのです。
こうして私はアメリカから帰国後、試作に特化した京都の中小企業ネットワークである「京都試作ネット」と組み、スタートアップ企業への投資と、試作開発を行う支援プログラムを提供する会社を2015年に立ち上げたのです。
スタートアップ企業と製造業をつなげる試みは試練の連続でしたが、あるプロジェクトでの成功をきっかけに、シリコンバレーで描いた仮説が実現に向かうことになるのでした。

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