日米ベンチャー投資格差是正へ

2021年03月11日の日刊工業新聞「グローバルの眼」に掲載された当社牧野の記事を再掲します。
※本記事の転載は日刊工業新聞の許諾を得ています。
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私がシリコンバレーの地を初めて踏んだ2007年当時、日本のベンチャー投資額は3,000億円と言われていた。一方、米国は10倍の3兆円と聞かされた。シリコンバレーではGAFAが世界企業へと成長しており、スケールでも資金面でも日米のスタートアップの差を痛感し、如何にその差を埋められるか、そんな事ばかりを考えていた。

そんな矢先の2008年にリーマンショックが起こり、VCの投資額は減少し多くの廃業も出て、スタートアップの未来は真っ暗に感じた。ただすぐに米国の投資額はリーマンショック前の水準に戻り、更にウーバーやテスラといった世界を牽引するスタートアップがこの時に誕生した。

米国でのベンチャー投資額はその後も増え続け、2020年には14兆円に迫り、日米の差はこの10年で、10倍から30倍へと拡がった。2020年のアメリカはコロナ禍の影響により働き方や生活スタイルが一変した。

米国ではテキサスやフロリダへの企業の移転が加速し、シリコンバレー一極集中に陰りが見え始めた。エッセンシャルワーカーやブルーカラーの労働環境は、日本以上にソーシャルディスタンスを意識した働き方が浸透し、ロボットとの協働や遠隔操作関連スタートアップの活躍が目覚ましい。自宅で過ごす時間が長くなり、Eコマースやケータリング、買物代行ビジネスが大きく伸長した。インターネットでつながったコーチの指導の元、自宅でフィットネスができるペロトンが上場し、コロナ禍でも過去最高益を記録したのに対し、老舗のフィットネスジムの多くは閉鎖に追い込まれたのは象徴的な出来事だろう。

このように、米国はスタートアップが依然として新しい経済発展を担っており、投資資金も上昇し続けている。今、この時にも次のウーバーやテスラになるスタートアップが誕生しているのだ。

一方、日本ではコロナ禍でスタートアップに期待は集まっているが、ここ数年のベンチャー投資ブームを牽引した事業会社やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)は、スタートアップへの投資に慎重になっている。経産省が発表した資料によれば、2020年の日米中の投資額は日本が約マイナス32%となった一方で、米中は約プラス10%強とコロナ禍でも活発だ。日米間の投資額が10年間で大きく差が開いた状況で、事業会社やCVCからの投資が冷え込めば、その差はさらに加速するだろう。

私たちはそんな環境を少しでも変えたいとの想いから「Monozukuri」をキーワードに京都で創業し、米国のスタートアップエコシステムに着実に根を張ってきた。日本ではまだ知られていない若いスタートアップに積極的に投資してきた結果、投資を始めた4年前では考えられない数のスタートアップから投資や支援の問い合わせが届いている。

2021年からは日本ではまだ知名度が低い米国スタートアップを、日本企業にいち早く紹介するイベント(デモデー)を定期的に開催し、好評を博している。「Monozukuri」を通じて日米を繋げて新しい価値を生み出し、世界をもっと良くしたい。私たちの挑戦はまだまだ続く。

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