最初に登壇したのは、ハチたま。
「猫のことが好きですか?」 ハチたまで国際展開の責任者を務める村木未蘭氏は、そう叫んだ。彼女の上機嫌な熱意は、シャイさを打ち破り人々を沸かせた。聴衆の満場一致、頷き、同意に満足した彼女は、しばらく待って微笑んだ。「私も猫が大好き」そう言って、彼女は聴衆の心を惹きつけた。
今日、アメリカには7,400万匹の猫が住んでいます。残念なことに、毎年2,200万匹が風邪にかかります。それが一番の死亡原因です。問題は、猫が病気になったときに、そうだと話せないことです。悲しいことです。本当に病気が深刻な状態になるまで、我々には猫の具合が悪いと知る余地はありません。そこでハチたまでは、TOLETTA を思いついたのです。(村木氏)
TOLETTA は世界初の猫用スマートトイレだ。飼い主が家にいながら、猫の健康を記録し慢性腎不全などの病気を見つけられるようにする。腎不全、多尿症、毎日の体重減少などの症状をチェックし、飼い主や獣医が確認できるようデータと洞察を収集する。また、猫がなるべく早く治療を受けられるよう、合併症の兆候が見えたら、TOLETTA は飼い主に警告をしてくれる。
腎不全は猫の天敵。TOLETTA は非侵襲で、環境に優しく、愛猫家を悩ます問題を解決するソリューションです。早期発見と早期治療により、猫の寿命を最高で3年伸ばすことができます。(村木氏)
村木氏によれば、TOLETTA は収集したデータで獣医を啓蒙・改善を支援したいと考えていて、ハードウェアとしての TOLETTA はぞの序章に過ぎないとのことだ。アメリカの市場規模は大きく、ペット猫を飼う家庭は3,600万世帯以上あり、ハチたまのチームではすべての不安材料を取り除くことを約束している。
hackfon by FutuRocket
FutuRocket の CEO 美谷宏海氏は、長年におよぶ IoT 業界でのキャリアを通じて、常に未来や夢のあることに夢中だった。しかし、「次に何が来るか」という追求をする中で、彼は人口に占める多くの層、高齢者が取り残されていることに気づいた。
これまで長い間、IoT ハードウェアに従事してきました。多くの IoT アプリは、高齢者には複雑過ぎます。それでは使われない。我々は未来を、みんなにアクセスできるものにしたいんです。(美谷氏)
ミッションを得た FutuRocket は、旧式の電話をクイックで直感的でスマートリモートへと変える「hackfon」を開発した。電話のボタンを押すか、ダイアルすると、ユーザは IoT デバイスや Web サービスに素早くアクセスし、コントロールすることができる。
FutureRocket のチームは、ヤフーの年次テックイベント「Hack Day 2017」でのピッチで Hack Award を受賞、これがクラウドファンディングを実施して、hackfon の開発を進め、新しいものを高齢者に届ける旅の始まりとなった。
Webiot by ピクスー
次は、ピクスーの塩澤元氣氏。彼の声調は穏やかで、リラックスしていて、むしろ、癒される感じさえした。その控えめな印象とは裏腹に、彼は豊かな経験と際立ったキャラクタの持ち主で、特別なハードウェアプロダクトを見せてくれた。
ピクスーの最初のプロダクトであるスマートペットフィーダーは、資金調達に失敗してしまった。塩澤氏は揺るぎない精神で挑戦を続け、IoT ソリューションやその採用において企業をコンサルティングする B2B へとピボット。Webiot という特別な IoT センサーの開発を始めた。
「Sensor as a Service」が Webiot のモットーだ。塩澤氏によれば、企業が自前のセンサーを開発し、事業活動や生産性をモニターするためのコストは莫大なものになる。
電子部品市場はコストが高く、手間のかかる作業が多い。サンプルを入手したり、規制を乗り越えたりするために、多くの情報が必要になるからだ。必要なものが見つかっても、次から次へと電話しなければならない。(塩澤氏)
Webiot シリーズには8種類のセンサーがある。それぞれのセンサーは、環境モニタリングのための温度・湿度・気圧センサーから、店内の人の動きをモニターできる加速度センサーや人感センサーまで、特定のアプリケーションを意図して開発されている。したがって、どんなアプリケーションが来ようと、小さな NeXT のような Webiot は、IoT の求められる進歩に対応できる最新のセンサーを提供できるわけだ。
スマートマット by スマートショッピング
次はスマートショッピングの CEO 林英俊氏だ。彼は、楽しそうに少年のような魅力を放ちながらステージに立った。彼の明るい笑顔は聴衆を惹きつけ、聴衆は彼の話に聞き入った。彼がピッチした新プロダクトは、まさに人々を夢中にさせるものだった。
東京を拠点とする同社は、アイテムの量をモニターし、残りが少なくなると再注文してくれるデジタルマットを開発した。
シンプルです。最初はマットの上にアイテムを置くだけです。すると、重量を計算し記録します。残りが少なくなると、追加で再注文が実行される。それだけです。(林氏)
これは、サプライチェーンの複数レイヤーを自動化できるデバイスだ。在庫注文の管理コストを下げられる可能性がある。最後に、林氏は「スマートショッピングは、サプライヤーに究極のソリューションをもたらそうとしている。」と述べた。
Kalkul 1.1 by Kalkul
最後にピッチしたのは、Kalkul の国際デュオ Bartek Kolacz 氏と Mehdi Hamadi 氏だ。彼らが見せたものには驚かされた。Kalkul は、我々が当然のように思っているユビキタスでシンプルなものを変えようとしている。それが変われば、誰もにとってメリットがあるだろう。彼らがターゲットとするのはイヤフォンだ。
どこへ行っても、皆いつもイヤフォンをしています。まるで、家にハミガキがあるのと同じくらい一般的ですね。イヤフォンを開発している会社は1,000社ほどありますが、皆同じことをしています。ステレオの時代で止まってしまっているのです。(Kolacz 氏)
Kalkul は最近、「パーソナルオーディオインターフェイスの未来」と名付けた Kalkul 1.1 を発表した。世界初の 3D プリントによる優先イヤフォンだ。複雑な音響デザインに加え、ナイロンでできたソフトな内部にはデュアルバランスアーマチュアドライバ技術を実装、音楽への完全な没入を約束する強力なノイズキャンセリングメモリフォームを備えている。
彼らのようなオーディオマニアは明らかに品質にこだわっていて、彼らの興奮したピッチの中にもそのパッションは明らかだった。
イヤフォンは、今の時点でナンバーワンのアクセサリーだ。我々は、これを新しいレベルに引き上げたい。(Kolacz 氏)
スタートアップのピッチの後、辛抱強い聴衆たちには心待ちにする小さなサプライズがあった。8月の第1週に開催される Makers Faire の無料チケットが10名にあたるチャンスだ。ピッチのスリルが一段落し、参加者はサッポロビールとキリンビールの待つ部屋の後ろの方に進んだ。ビールを手に「乾杯」の声がかかると、それはピッチセッション終了、ネットワーキングセッション開始の合図だ。
投資家、スタートアップ、テック愛好家らは、カジュアルな雰囲気の中でミングルしながら、さまざまなスナックやドリックを楽しんだ。今回は非公式な回のミートアップであったにもかかわらず、ピッチが生み出した熱狂を見ることができた。プロトタイプが公開・テストされ、進化する技術についてのエキスパートチャットに花が咲いた。新しいメンターや仲間のスタートアップ、会社同士のつながりが形成されるのも目撃された。
東京で初めて開催された Monozukuri Hub Meetup は、躍動的で、リラックスでき、人々を啓蒙し、楽しんでもらうことができ、成功裏に終わった。そこには、コミュニティで見つけられるスリルと喜びがあった。参加したい人は、Meetup.com のグループに加わってください。
Write: Ahmed Juhany
Photo:Jo Rasales 氏
Original : The Bridge