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新しいスタートアップ拠点、深圳の現状とその展望

Makers Boot CampのCEO 牧野成将です。私たちは伝統産業とハードウェアのモノづくり文化が息づいている京都で、スタートアップ向けに試作支援をおこなっています。同時にスタートアップ文化を日本中で盛り上げるためにMeetupや起業家が集まる場づくりなどにも力を入れています。

この度、2018年3月4日から8日まで日中経済協会主催の深圳スタートアップ・ベンチャー企業交流視察団に参加してきました。

深圳での会議の様子

深圳は「中国のシリコンバレー」とよく紹介されることがありますが、3年前に私が深圳を訪問したときは、何となく「シリコンバレーの生産基地」のイメージがあり、深圳自体がシリコンバレーという印象を持つことはありませんでした。

前海のモニュメント

ただ今回の訪問で、前海(深圳でもっとも開拓が進むエリア)、テンセント(インターネットサービス) / BYD (電気自動車) / DJI (ドローン) / Hax (ハードウェアアクセラレーター) 等への企業訪問、更には深圳のインキュベーターやスタートアップとの交流を通じて50社以上の企業と接点を持つことができ、私が深圳に持っていた印象は全く変わりました。まさにシリコンバレーで感じる活気がありました。実際に交流したどの企業も若くて非常に優秀なメンバーがAIや自動運転など先進的な事業に取り組んでいました。

DJIでのデモンストレーションの様子

今や世界トップ5の企業価値を有するWechatを展開するテンセントの従業員数は2015年には30,000人でしたが、約3年間で43,000人へと増加(2018年2月時点)、しかも平均年齢は30歳ということです。会社内を行き来する人は若さに溢れていました。

Tencentの入り口にて

そんな「中国版シリコンバレー」と言える深圳ですが、シリコンバレーとの違いを挙げるとすれば、国や行政のコミットメントが非常に強いように感じました。深圳の至るところで「大衆創業 万衆創新(大衆の起業、万人のイノベーション)」といった言葉を聞きましたし、また訪問したインキュべーションでは「跟党一起創業(共産党と共に起業する)」というポスターも目にしました。私はスタートアップやイノベーションの創出には国のコミットメントが重要であるという考えを持っており、個人的には悪いとは思いませんが、訪問した企業で国や行政の関与を聞くと皆が一様に関与を否定している所に若干の違和感を覚えました。

前海を中心とした深圳湾岸開発エリア

何にしても深圳は行政と民間が協力しながら、すごいスピードで成長変化しており、これを「深圳速度」というようです。今後も深圳から数多くの企業が生まれ(深圳のユニコーン企業は12社。中国全体では59社、そして世界では約220社のユニコーン企業が存在しています) 世界の中でますます大きな影響を及ぼしていく事になるだろうと感じました。

個人的に感じた懸念として、中国が非常にドメスティック化している気もしました。ドメスティックのマーケットが大きいのでドメスティック化は当然ですが、働いている人はほとんどが中国人であり、言語はどこも中国語、非常にクローズドな印象を受けました。中国は外国企業の展開を制限することで、多くのユニコーン企業を急速に生み出すことに成功したとは思いますが、今後は如何にしてグローバル進出をおこなっていくのか、そこに大きな壁が立ちはだかるような気がしました。

前海の展示会場前にて

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