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【米国VC投資額レポート: 2022年12月】シード投資、シリーズA以降ともに減少| Monozukuri Ventures

今回のレポートでは、12月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。

プレシード・シードの動向

12月のプレシード・シードの投資は11月に続いて投資金額・投資件数ともに減少し、2022年で最低の水準となりました。2023年も引き続き金融市場の混乱や景気後退リスクの上昇といった懸念が高まっていることや、暗号通貨のFTXの破綻などもあり、投資家心理的にも新規投資に慎重になっている局面の可能性があります。MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

プレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1. Xscape Photonics(調達額:$10,000,000)

Xscape PhotonicsはデータセンターおよびHPC(High Performance Computing / ハイパフォーマンス・コンピューティング)システム内の超高帯域接続用フォトニックチップを開発しています。従来の電気信号を用いたチップ間の通信は大きなスペースと電力を必要とするため、昨今の指数関数的に増加しているデータの扱いには限界が生じています。Xscape Photonicsのフォトニクス技術はチップ間の通信において、消費電力と発熱を大幅に削減し、膨大なデータ通信をサポート可能です。

出典:Xscape Photonics公式HP

2. Foundation(調達額:$7,000,000)

Fundationはハードウェアウォレット「Passport」とハードウェアウォレット用のコンパニオンアプリ「Envoy」を提供する企業です。一般的に用いられている暗号通貨の保管(取引所によるカストディ)は盗難やサービス提供会社の倒産によって自身の暗号資産にアクセスできなくなってしまうことがあります。そこで注目されているのが暗号資産を自分で保管するセルフカストディです。Fundationのソリューションはセルフカストディを実現するためのハードウェアであり、Passportの画面に表示されるQRコードをスキャンするだけで取引を行うことができる利便性と、ネットワークに接続しないエアギャップ方式による高いセキュリティを実現しています。

出典:Foundation公式HP

3. Urban Machine(調達額:$5,600,000)

Urban Machineは使用済みの建築用木材から釘やネジを取り除き、再使用可能にする機械を開発しています。米国では金属やコンクリートのリサイクルは確立されていますが、建築用木材のリサイクルは釘やネジなどの金属製留め具がリサイクルを妨げており、結果、年間3700万トンが廃棄されています。Urban Machineは使用済みの建築用木材のリサイクルを通してリサイクルを通して持続可能な社会の実現を目指しています。

出典:Urban Machine公式HP

シリーズA以降の動向

12月のシリーズA以降の投資は、プレシード・シードと同様に投資金額・投資件数ともに2022年で最低の水準となりました。MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

シリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1. Anduril Industries(調達額:$1,480,000,000)

Anduril Industriesは2017年にOculus VRの創業者であるPalmer Luckeyによって設立された防衛ソリューションを開発する企業です。Anduril Industriesの防衛ソリューションは様々なドローンやセンサといったハードウェアとそれらを統合運用するLattice OSによって構成されています。Anduril Industriesは米国特殊作戦司令部のシステム統合パートナーとして10年間で9億6700万ドルの契約を締結しており、その他にも英国やオーストラリアといった米国の同盟国でも活動しています。今回の14億8000万ドルの調達はEpic GamesやSpaceX、Lineage Logisticsに次ぐ2022年で4番目の資金調達額となっています。

出典:Anduril Industries公式HP

2. Frore Systems(調達額:$100,000,000)

Frore Systemsはノートパソコン向けの史上初のソリッドステート・サーマル・ソリューションを開発する企業です。ノートパソコン等のモバイルデバイスは高性能かつ薄型軽量であることが求められます。従来から用いられているファンやヒートパイプによる冷却は不十分です。Frore Systemsの脈動ヒートパイプによる冷却システムはハイエンドの製品で最大1.75Wの消費電力、24dBAのノイズで10.5Wの熱を除去します。Frore SystemsのソリューションはIntel Evo laptopsとも協業しています。

出典:Frore Systems公式HP

3. Saphlux(調達額:CN$110,000,000)

Saphluxは世界初のQD マイクロLEDソリューションを提供する企業です。Saphluxは、ディスプレイ用途のマイクロLEDチップとマイクロディスプレイモジュールの設計と製造を行っています。Saphluxは独自のNPQD®技術によって量子ドットとマイクロLEDの融合に成功し、高性能かつ低コストの光エンジンソリューションを提供しています。

出典:Saphlux公式HP

※産業の区分:What Industries are included in Crunchbase?

ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。

来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。

調査:投資部門インターン川村

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