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【MBC試作ファンド】超小型衛星用製品の開発をおこなう宇宙スタートアップへ投資
ハードウェアスタートアップのモノづくり支援をおこなうMakers Boot Camp(運営:株式会社Darma Tech Labs、本社:京都市下京区、代表取締役:牧野成将、以下「MBC」)は、ジェネラル・パートナー(GP)として管理する「MBC Shisaku 1号投資事業有限責任組合」の投資先として、株式会社 天の技(読み方:アマノギ、本社:東京都大田区、CEO:工藤裕、以下「天の技」)へ投資したことを発表します。天の技は、宇宙産業で小型衛星による正確な測定をサポートする衛星姿勢測定装置(STT:Star Tracker)を開発する、東京工業大学(以下「東工大」)発のスタートアップです。今回のMBC試作ファンドからの投資を受け、日本初のCubesat向け部品開発に向けて宇宙における実績づくりと宇宙データー解析のため衛星用AI装置開発に取り組む予定です。今回は東工大発のスタートアップを支援する「株式会社みらい創造機構」と共に本ファンドから投資をおこないました。
【宇宙産業の市場と参入障壁について】
2008年「宇宙基本法」の成立や、約1兆2000億円とされる日本の宇宙産業の市場規模を2030年代に倍増することを目標とする「宇宙産業ビジョン2030」の制定等、日本政府は宇宙産業へ注力する政策を打ち出しています。またispace社、Astroscale社等日本発の宇宙ベンチャーが、100億円規模の資金調達に成功するなど宇宙関連市場は確実な成長が見込まれます。しかし宇宙産業への参入は、宇宙での運用実績、宇宙環境(温度差、真空、放射線、打ち上げ時の振動等)での使用条件、長期にわたる開発期間など、多くの困難を乗り越える必要があります。天の技 の技術アドバイザの谷津 (東工大助教)が開発しているSTTは、民間が開発した部品を衛星等に搭載し宇宙実績の機会を作る宇宙航空研究開発機構(JAXA)による「革新的衛星技術実証プログラム」1号機での打ち上げが決まっており、2019年の1月17日にロケットの打ち上げを予定しています。東工大発スタートアップとして大学の衛星への知見を活かした天の技 開発のSTTも同プログラムの2号機にも選抜され搭載が決定しました。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成金によりSTTの商業化を目指しています。今後、研究機関や民間企業が開発する数キログラムの超小型衛星CubeSatの開発が日本国内で増えると見込まれており、天の技は先発の日本ベンダーとして優位な立ち位置を目指します。
【天の技の構成メンバーについて】
月面探査ローバー(HAKUTO)の装置開発にも携わった東工大出身のCEO工藤 裕をはじめとした天の技のメンバーに、衛星プロジェクトに関わってきた谷津 陽一 東工大 助教が2018年10月に天の技の取締役に就任しました。東工大発のスタートアップとして認定を受けており、今後も協力体制を保ちつつ、大学が保有する宇宙技術を利用したSTT開発を行っていく予定です。
【衛星姿勢測定装置(STT:Star Tracker)と今後の天の技の展開】
天の技チームが開発を手がけるSTTは正確な地球の観測データを取る上で必要な姿勢制御の重要な部品です。宇宙で撮影した画像を星の座標データと比較して衛星の現在の姿勢を測位します。日本国内での超小型衛星向けSTTベンダーとして既存の1000万円以上する高価な海外製STTに対抗できる小型で安価なSTTを現在開発中であり、2020年をめどに販売を開始します。今後は宇宙データビジネスを活用するための自律解析衛星(AI衛星)用カメラの開発に本格的に取り組む予定です。
MBCはIoTから宇宙開発までモノづくりをおこなうハードウェアスタートアップへの投資と技術支援を通じたサポートをおこない、日本の優れた技術力を世界に向けて発信し続けてまいります。