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【イベントレポート】Monozukuri Venturesが提供するオープンイノベーション教育・実践プログラムと、イベントでの実践

目次

はじめに

本記事は、2024年6月14日に開催された、第5回Monozukuri VenturesオンラインLPミーティング、ネットワーキング交流会の開催レポートです。 四半期ごとに開催しているオンライン交流会ですが、今回はオープンイノベーション人材の教育について弊社投資部門最高責任者の関がお話いたしました。 ■動画視聴はこちらから ■資料ダウンロードはこちらから

Monozukuri Venturesのミッション

Monozukuri Venturesのミッションは、製造業企業がスタートアップをM&Aする橋渡し役になることです。特に過去3年間で、この役割を強化してきました。 我々は投資活動だけでなく、様々なイベントやワークショップも行っています。これらの活動は、ディープテックスタートアップと投資家が大企業と頻繁に交流できる場を提供し、協業や出資の機会を増やすことを目的としています。 最終的には、スタートアップを巻き込んだ形でのオープンイノベーションの実現を目指しています。

今年後半のイベントの予定

2024年の夏以降、以下のようなイベントを予定しています。 9月22日〜29日: アメリカ東海岸で開催される「Climate Week NYC」と「AI & Robotics Venture Fair」にあわせて、視察ツアーを実施予定です。 10月15日〜17日: シリコンバレーで「Deep Tech Forum」を開催します。10月15日にフォーラムを行い、16日と17日には「RoboBusiness」との連携イベントを予定しています。 このイベントは、5月にボストンで開催された「Robotics Summit & Expo」の主催者が西海岸で開催するものです。 12月2日〜5日: 東京の虎ノ門で「イノベーション リーダーズ サミット (ILS)」が開催されます。現在、このイベントの翌日にミートアップを予定していますが、詳細はまだ調整中です。ILS期間中や前後に開催する可能性もあります。主に海外のスタートアップや投資家、アクセラレーターを招待し、東京での交流を促進します。 2025年3月 2025年3月13日〜14日: 京都で「Deep Tech Forum Kyoto」を開催します。今年と同様に「Monozukuri Hardware Cup」も同時に実施します。関西のネットワークを活用してイベントを展開する予定です。 これらのイベントを通じて、スタートアップと投資家、大企業との交流を深め、協業の機会を創出していきます。

Monozukuri Venturesが手掛けるイベントとは?

Monozukuri Venturesが手掛けるイベントは、現在海外を中心に以下の3つがあります。 1. Deep Tech Forum 概要: Monozukuri Venturesが主催する小規模フォーラム。 参加人数: 最大100名〜150名。 開催都市: 今年1月にトロント、ピッツバーグ、ニューヨーク、3月に京都で開催。今後はさらに多くの都市で開催予定。 2. Monozukuri Hub 概要: 大規模イベントに相乗りして開催される交流会。特にディープテックや製造業関連分野に焦点を当てます。 参加人数: 最大100名程度。 特徴: Monozukuri Hubは、他の大規模イベントの中からトピックに合う参加者を厳選して行われる交流会です。 3. Monozukuri Tour 概要: Deep Tech ForumやMonozukuri Hubに連動して、ローカルの投資家やアクセラレーターを訪問するツアー。 目的: メインイベントの前後に効率的に回り、現地のエコシステムとの交流を深めます。

イベントの詳細

Deep Tech Forum Deep Tech Forumは、スタートアップだけでなく、エコシステムのインベストアクセラレーターと長期的に関与する方々との交流を目指しています。例えば、今年1月に開催した3つのDeep Tech Forumでは、それぞれ79名、73名、56名が参加しました。 Monozukuri Hub Meetup 5月1日と2日にボストンで開催されたMonozukuri Hub Meetupでは、JETROと共催し、150人程度が集まりました。内訳は、スタートアップが約半分、エコシステムが38人、日本企業が23人、地元企業が24人でした。このイベントを通じて、参加者は普段の展示会やカンファレンスでは出会えない方々と深い話ができ、VCからのリバースピッチも行われました。 Monozukuri Tour 1月に続いて2度目となるMonozukuri Tourでは、THK、エクセディ、NTT西日本、ナブテスコ、旭化成、JR東日本などの参加者が集まりました。ピッツバーグでは、Carnegie Mellon、ARM Institute、Advanced Robotics for Manufacturingなどを訪問し、ボストンではRobotics Summit & ExpoやGreentown Labs、MITのILPなどを見学しました。 今後もMonozukuri Venturesは、9月、10月、12月、来年3月にかけてイベントや視察ツアーを計画しています。各イベントに関する詳細は随時発表していきますので、個別にお問い合わせください。

オープンイノベーション教育と実践

次に、オープンイノベーションの教育に関する私たちの取り組みについてご説明します。 教育実践プログラム このプログラムは、スタートアップとの付き合い方を学ぶことと、ネットワーキング支援を行うことを目的としています。学んだアイデアを活用して、スタートアップや投資家、エコシステムと連携し、実践の場を提供します。最終的には、出資や協業、買収につながることを目指しています。 スタートアップとの付き合い方 スタートアップとの関わり方を理解することで、どのように出資や協業を進めていくかを学びます。特に社員の教育において、具体的なスタートアップとの付き合い方を指導します。これにより、投資以外の部分でもスタートアップとの連携を強化します。 駐在チームの実践 アメリカでの駐在チームは、日本の事業部門のリクエストに応じて、スタートアップを探し、紹介します。良いスタートアップが見つかれば、出資や製品購入を行います。しかし、VCと事業部門の評価基準は異なるため、その違いを理解することが重要です。 このように、オープンイノベーションの教育と実践を通じて、スタートアップとの効果的な連携を目指しています。

VCはチームを評価、事業部門は製品や技術を評価

事業部門の評価方法 事業部門はスタートアップを評価する際、技術や製品の優劣に焦点を当てます。同じ業種の複数のスタートアップを比較し、製品の品質を○×の表で評価することが一般的です。 VCの評価方法 一方、プロフェッショナルVCは特にチーム、特にマネジメントチームや経営陣を重視します。シカゴ大学の調査によると、VCの約47%がチームを最重要視し、製品やビジネスモデルは10%以下に留まります。つまり、VCはチームの質を最も重視します。 日本企業の課題 日本企業がオープンイノベーションを実践する際、製品や事業モデル、市場については詳しく調べますが、チームの評価は軽視されがちです。この点がVCとの大きな違いです。 チーム評価の重要性 チーム評価には、語学力や親密さだけでなく、個々の能力やチームワークが発揮できる構成が重要です。特に海外では、チームが適切に構成されていないケースも多く見られます。 課題の克服 スタートアップへの投資や買収を行う際、文化や語学の違いを超えて、適切な評価を行うためには実践と経験が必要です。具体的には、質の高いミーティングを通じてチームワークや経営陣を評価し、質問力を高めることが重要です。 ミーティングの重要性 ミーティングでは、スタートアップが一方的にピッチすることが多く、効果的な質問が難しい場合があります。これを克服するために、質問力を向上させるトレーニングが必要です。 今後も、これらの課題を克服し、スタートアップとの連携を深めるためのサポートを提供していきます。

スタートアップを適切に評価するための「質問力」をどう強化するか

スタートアップを適切に評価するためには、質問力を高めることが不可欠です。しかし、実際に多くのミーティングをこなすのは難しいという現実があります。これには以下のような理由があります。 ・ミーティングの機会が限られている ・他の業務が多忙でミーティングに割く時間が少ない

この課題を解決するために、実際のミーティングをシミュレーションするラーニングシステムを開発しています。以下はその概要です: 1.ミーティングの録画活用: ・スタートアップとのミーティングを録画し、教材として使用します。 ・録画を視聴しながら、プレゼンテーションを理解し、適切な質問を考える練習を行います。 2.実践的な質問練習: ・スタートアップが自社のプレゼンテーションを行い、その内容を聞きながら質問を挟みます。 ・プレゼンテーション終了後にも追加の質問を行い、質問力を鍛えます。 3.プロトタイプの開発: 現在、内部的にプロトタイプを開発しており、このシステムを使って質問力を向上させるトレーニングを進めています。 このラーニングシステムを活用することで、実際のミーティング機会が少ない場合でも、効果的に質問力を向上させることができます。

カスタムGPTで質問力を鍛える

これは実際にミーティングに参加するのではなく、時間差で利用可能です。 まず、ChatGPTにミーティングを見せ、その後に質問を行います。事前にミーティングの内容をChatGPTに読み込ませておくことで、私たちの質問に対して資料やミーティング中の情報をもとに回答してくれます。そして、その回答に対してさらに質問を繰り返すことで、質問力を実践的に鍛えます。 現在、ChatGPTはチャット形式でのみ対応していますが、最新のChatGPT-4oでは音声でのやり取りも可能です。この機能が利用できるようになれば、口頭で質問し、音声で回答を得ることができます。一定の時間内で練習を終えるように設定し、重要なのは、10分から15分のプレゼンテーションを聞いた後に的確な質問ができるかどうかです。 プレゼンが終わった後に質問の質を評価し、必要に応じて人間が評価を行うことで、どんな質問をすべきかを教育することを目指しています。このような方法で、効果的に質問力を鍛えることができます。

鮮度が高い「生きた教材」を使う

私たちは毎年約1000社のデュー・デリジェンスを行っていますが、そのうちインタビューするのは約200~300件です。この200~300件のインタビューを基に教材を作成しています。ただし、単に作業するだけでは不十分なので、これを補完するために、ウェビナーやワークショップ、eラーニングも併行して検討しています。 ウェビナーやワークショップについては、既にJETROさんと協力し、自社でもオープンイノベーションに関するセミナーやウェビナーを開催しています。さらに、今後は書籍も出版予定です。これらを基に、セミナー、読み物、eラーニング、そして場合によっては個別面談などを通じて、インタビューの質問力だけでなく、その活用方法についても教育していきたいと考えています。 教育の広がりを目指している一方で、実践の場で経験を積むことが最良の教育と考えています。現在、我々の3号ファンドでは、提携する2社のアクセラレーターにトレーニーとして12ヶ月程度派遣する計画を進めています。

米国のアクセラレーターで集中的に鍛える

アメリカのアクセラレーターはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の教育機関として、最適な場所だと考えています。これは、世界中から大量のスタートアップのアプリケーションが届き、それをスクリーニングし、必要に応じてインタビューを行うことで、優れたスタートアップを見抜く実践力が養われるためです。 短期間で大量の資料を読み込み、多くの面談をこなすことでOJTが実現します。しかし、それだけではなく、より重要なのは、アクセラレーターに参加したスタートアップと日々時間を共有することです。毎日ではなくても、週に定期的に会い、特に重要な決断の場面でのメンタリングを行うことで、スタートアップの急成長を間近で体験することができます。 例えば、半年間のアクセラレータープログラムでスタートアップがどれだけ変わるかを観察することは、非常に大きな経験となります。その中で、人を見る目を養うことができます。よくあるのは、ファウンダー同士の対立や方針の違いによる離脱です。これをどのように防ぐか、一緒に考えることで、成功するスタートアップの共通項を見つけることができます。 このような体験が、12ヶ月という短期間で凝縮して得られることが、アメリカのアクセラレーターが最高の受入れ機関である理由です。我々はこのような教育実践プログラムを提供する予定です。

もともと、このプログラムは3号ファンドのLP(出資者)の方向けのサービスとして考えていました。しかし、内容が多岐にわたること、そしてピュアなリターンを求める出資者と、教育プログラムを希望する出資者の間に意見の違いがある可能性があるため、教育実践に特化したプログラムはファンドとは別に分けることにしました。 具体的には、教育実践プログラムではオンラインラーニングだけでなく、実践の場としてツアーやイベントで個別のVC(ベンチャーキャピタル)とマッチングを行う、プライベートの招待制イベントを開催する、といった活動を予定しています。これはリアルな場だけでなく、オンラインでもサロン形式の交流イベントを行い、広くVCと知り合う機会を提供します。 ただし、ファンドの出資がなければ実現できないものもあり、これらはファンドのLP向けに提供する予定です。具体的には、オンラインラーニングでスタートアップのプレゼンテーションを見て質問する場面で、タイムリーなインタビュー素材を提供する、あるいはアクセラレーターへのOJT派遣を行うなどです。これらは投資先だからこそ可能なプログラムです。 このように、教育実践プログラムとファンドのLP向け実践プログラムをパッケージ化して提供する計画です。

大きなイベントにあわせて厳選された交流の機会を提供

具体的には、秋以降のイベントについても、例えば東海岸で開催されるClimate Week NYCやAI & Robotics Venture Fairに参加する際に、ツアーではイベントのDemo Dayや出展者ブースに参加するだけですが、実践プログラムに参加するLPの方々には、プライベートなディナー兼交流会や、事前に打ち合わせをしておいた投資家との個別ミーティングのコーディネートなどを提供します。また、シリコンバレーのDeep Tech Forumでは、優先的にセッションを持つ機会も提供します。 我々は、2号ファンドの途中からオープンイノベーションに関連する教育が課題だと認識しており、現地駐在の方々からは実践が課題だという声も伺っています。これを踏まえ、この1年間のイベントや視察ツアーでのフィードバックを基に、教育と実践のプログラムを開発しています。 まだ具体的な提供方法は決まっていませんが、内容や提供時期、形態、価格について関心がある方は、ぜひ個別にお問い合わせください。詳細をご説明いたします。

Monozukuri Venturesでは、ハードウェア・ハードテック特化型のVCからみた、製造業・ハードウェア業界動向のご紹介をしています。ご興味のある方はこちらの当社ニュースレターへご登録下さい。

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