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イノベーション都市としての京都

〜パリと京都の関係性〜

今回の滞在で一番感銘を受けたルーブル美術館をI.M Peiのルーブル・ピラミッドから臨んだ一枚

Makers Boot CampのCEO 牧野成将です。私たちはハードウェアスタートアップ向けの試作支援を京都でおこなっています。

ドイツのベルリンから、ハードウェアスタートアップの新たな都になりつつパリへ移動しました。ベルリンは仕事で何度か訪れたことがあるのですが、パリは初めての訪問になり、多くのハードウェアスタートアップがどのような環境で生まれているのか自分の目で見ることを楽しみにしていました。またアートの街として有名なパリのデザインがイノベーションに与える影響についても知る機会になるはずとの思いを胸に訪問しました。

セーヌ川の夕日

"Club de Paris des Directeurs de l’Innovation(パリクラブ)"が開催する”10th National Meeting of Innovation Directors”への招待を受け、京都市とMakers Boot Campの取り組みを紹介するために参加してきました。

パリクラブはフランスの大企業や公的セクターの新規事業開発メンバー等が中心となって、テクノロジーや産学連携を通じてよりよい社会のあり方を啓蒙する団体であり、フランスのイノベーションを牽引する大きな影響力を持っています。

京都市長を表敬訪問するパリクラブのメンバー(photo by Tugi Guenes)

Makers Boot Campとパリクラブとの関係は、3月に同団体のメンバーが京都に視察訪問をした際に、文化と革新的テクノロジーの2つの側面を持つ京都を体験するツアーをMakers Boot Campがオーガナイズしたことから始まりました。またMakers Boot Campの京都での活動をパリクラブに紹介してくれたのは、フランスのスタートアップをサポートする政府機関 La French Tech です。

パリクラブのメンバーと門川京都市長(中央)そして私(後列右から5番目)(photo by Tugi Guenes)

京都でのツアーでは、京都市長と接見、京都試作ネットや酒造工場等の見学、更には和菓子作り体験等を企画しました。

パリクラブメンバーが試作ネットクロスエフェクトを視察( photo by Akari Murata)
和菓子作りを楽しむパリクラブのメンバー( photo by Akari Murata)

そうした活動の影響もあったのか、今回の”10th National Meeting of Innovation Directors”にて各分野でイノベーティブな取り組みをする団体や都市を顕彰する”エルメス賞~Hermes Awards”を京都市が受賞する運びとなりました。エルメス賞は過去、ヘルシンキ(フィンランド、2010), バルセロナ(スペイン、2011), コペンハーゲン(デンマーク、2012)、ウィーン(オーストリア、2013)、クリチバ(ブラジル、2014)、天津(中国、2015)が受賞したこともある名誉ある賞です。京都市は過去の受賞都市と比較しても歴史がありながら挑戦を続ける都市であること、大企業やスタートアップの革新的な取り組み等が認められての受賞となったようです。

京都市が受賞したエルメス賞(photo by Club de Paris)

2017年5月15日におこなわれた会議の中では、”The renovation of large enterprises through innovation”をテーマに、オーウェンス・コーニング(ガラスメーカー、米) 、バイエル(製薬メーカー、独)、ミシュラン(タイヤメーカー、仏)、コーラス(道路建設、仏)、レクトラ(ソフトウェア、仏)、また日本からは富士フィルム等の先進的な企業が各社のイノベーションの取り組み等をプレゼンテーションしました。

富士フィルムのプレゼンの様子

受賞にあたっては、門川市長の代理として日本大使館の平田吉男氏が、市長の謝辞をフランス語でを読み上げられた後、日本語版謝辞と共にパリクラブのマルク・ジジェ会長に譲渡されました。エルメスの形をした胸像トロフィーと賞状をジジェ氏より代理として受けとられました。

門川市長の代理として日本大使館の平田吉男氏が受賞スピーチをおこなってくださいました。 ( photo by Club de Paris)

ジジェ会長の京都市の紹介スピーチでは、門川市長との面談、京都リサーチパークや京都市産業技術研究所に関しても触れられており、産学官が一体となったイノベーション創出に取り組んでいる部分が評価され、受賞に至ったようでした。また京都での着物パスやマンガミュージアムなどソフト面も評価されており、ハードとソフトを組み合わせることを「Monozukuri」と表現しており、ここにイノベーションの源泉があるとまとめられていました。「Monozukuri」の新しい概念を教えていただいたようで、改めてすごくよい言葉だなと感じました。

平田吉男氏(中央)とマルク・ジジェ会長(右)( photo by Club de Paris)
マルク・ジジェ会長によるエルメス賞の説明

私は「Monozukuri」をテーマに京都の伝統産業や大企業の紹介、また中小企業のネットワークを活用してモノづくりスタートアップを支援するMakers Boot Campが生まれた経緯に関してのプレゼンテーションをおこないました。フランス人は京都/日本に非常に親しみを感じてくれているようで、日本で働いたことがあるよ、日本と何か一緒にしたいんだと数多くの担当者から声をかけてもいました。フランスでもキーワードは「イノベーション」、そしてそのイノベーションを生むために必要な要素は何か?という探求を今回受賞したすべての企業が求めており、革新的な未来へ向かって進んでいくことをポジティブに捉えた会議でありました。

京都のモノづくりエコシステムを紹介する私( photo by Club de Paris)

受賞企業の取り組みを参考にして、京都をこれまでにない概念のイノベーションが生み出される街にしたいと強く感じました。この実現のためにも京都市や大学、地元企業とのこれまで以上の協力関係を深め「京都をモノづくりの都」とするため一層の努力を重ねていくつもりです。

受賞会場の様子( photo by Club de Paris)

ベルリンから始まったヨーロッパツアーのレポートも今回で終りとなります。今後も京都や世界からMakers Boot Campの活動を通じた情報や最先端モノづくりについてお知らせしたいと思っていますので、今後共サポートをよろしくお願い致します。

手前に写っているのは京都のMeetupでもプレゼンをしてくれたTimescope
ヨーロッパは空気が乾いているせいか空が日本と違いました
クリームブリュレ美味しかったです
パリの市役所です。ライトアップしたパリは別の表情
パリではどこに行っても教会があります。京都でどこに行ってもお寺があるのと同じですね
お気に入りの写真です

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