post

【米国VC投資額レポート: 2022年11月】シード投資は減少、シリーズA以降は増加| Monozukuri Ventures

今回のレポートでは、11月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。

プレシード・シードの動向

プレシード・シードの投資は7月から回復基調にありましたが、11月は投資金額・投資件数ともに減少となりました。この減少が一時的なものかは引き続き注視していく必要があります。MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

プレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1. KEYO(調達額:$7,000,000)

KEYOは手のひら静脈認証による本人認証プラットフォームを提供する企業です。手のひら静脈認証は、赤外線を使って手のひらの静脈構造をマッピングし、500万以上のデータポイントを取得することで機能する生体認証です。手のひら静脈スキャナーはこれらのデータポイントをユニークな暗号化されたコードに変換し、生体IDに変換します。手のひらの静脈は指紋や虹彩のように露出していないため、他の生体認証に比べてセキュリティと認証精度に優れています。Keyoのプラットフォームは電話やカード、鍵がなくても、手のひらをかざすだけでドアを開けたり、お店で支払いをしたり、チケットと引き換えたりすることができるスマートな社会を実現します。

出典:KEYO公式HP

2. Ixana(調達額:$3,000,000)

Ixanaは従来の100倍エネルギー効率に優れる独自チップ「YR11」を開発する企業です。「YR11」の省電力、ワイヤレス、リアルタイムAI機能により、ARヘッドセットなどのヒューマン・コンピュータ・インターフェースを強化します。また、IxanaはリアルタイムAIで過去に出会った人の情報や作業の情報などをリアルタイムに提示することで、使用者に「ウェアラブルブレイン」を提供します。2023年1月5日〜8日まで米ラスベガスで開催されるCESでYR11対応のハードウェアのデモンストレーションを予定しています。

出典:Ixana公式HP

3. Vitro3D(調達額:$1,300,000)

Vitro3Dは複雑な物体を数秒でプリント可能なボリュメトリクス3Dプリンタを開発する企業です。ボリュメトリクス3Dプリンティングは、感光性樹脂に多方向から光線を照射することで一度に3Dオブジェクトを造形する手法です。Vitro3Dは、まずは歯科用アライナーの製造方法の変革を目指しています。

出典:Vitro3D公式HP

シリーズA以降の動向

11月のシリーズA以降の投資は、投資金額・投資件数ともに増加となりましたが、米国の金融市場の混乱が一段落するまでは乱高下が続きそうです。MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

シリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1. Astera Labs(調達額:$150,000,000)

Aster Labsは、データセンター向けの高速で信頼性の高いPCI ExpressおよびCompute Express Link接続ソリューションを提供するファブレスの半導体企業です。近年、データの爆発的な増加や、AIや機械学習に特化したワークロードの台頭により、GPUやAI専用プロセッサなどのアクセラレータを用いたヘテロジニアスコンピューティングが注目されています。同社の製品は、このような環境におけるボトルネックの解消に貢献しています。Aster Labsは今回の資金調達で評価額が32億ドルに達し、新たなユニコーン企業となりました。

出典:Astera Labs公式HP

2. Eliyan(調達額:$40,000,000)

Eliyanはチップレット向けインターコネクトソリューション「NuLink」を開発する企業です。半導体業界はモノリシックチップからディスクリートチップレットへの移行により、ムーアの法則に依存することなく、合理的なコストでより高い性能と低エネルギーを実現する道筋を模索しています。チップレットへの移行に伴い、インターコネクトにスポットライトが当たっています。Eliyanのソリューションは独自の技術により、従来の2倍の帯域幅と半分の消費電力でUCIe準拠のインターコネクトを実現可能です。

出典:Eliyan公式HP

3. Owl Labs(調達額:$25,000,000)

Owl LabsはAIを搭載した会議室用webカメラを販売する企業です。Owl Labsの製品の一つである「Meeting Owl 3」は360度カメラとマイク、スピーカーを搭載しており、会議室に1台設置するだけで発言者のフォーカスや参加者全員が見えるパノラミックビューを提供します。これにより、テレワーカーも会議室にいるような臨場感を得ることができます。

出典:Owl Labs公式HP

※産業の区分:What Industries are included in Crunchbase?

ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。

来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。

調査:投資部門インターン川村

Monozukuri Venturesでは、ハードウェア特化型のVCからみた、製造業・ハードウェア業界動向のご紹介をしています。ご興味のある方はこちらの当社ニュースレターへご登録下さい。

Kyoto Office

〒600-8846 京都市下京区朱雀宝蔵町34番地
梅小路MArKEt 3F

New York Office

2910 Thomson Ave, C760, Long Island City,
NY 11101

Toronto office

20 Wellington St E, Suite 500, Toronto,
ON M5E 1C5