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イスラエルのスタートアップ事情とイノベーションの源流を探る旅

イスラエルのスタートアップ事情とイノベーションの源流を探る旅

〜イノベーションの鍵は外部との連携

エルサレムにて嘆きの壁

Makers Boot Camp のCEOの牧野成将です。私たちは伝統産業とハードウェアのモノづくり文化が息づいている京都で、昨年立ち上げた量産化試作に特化したハードウェアスタートアップ向けファンドの運営やモノづくりのプロジェクトマネージメントなどを通じて、試作支援をおこなっています。

DLD(Digital Life Design) Tel Aviv Innovation Festival 2018の会場の見取り図

2017年5月に日本・イスラエルの経済産業省、大使館、貿易振興機講、経済団体等全ての主要プレーヤーが参加する「Japan Israel Innovation Network(JIIN)」が発足し、両国企業間での連携が進められていることはご存知でしょうか?今回その一環としてJETRO主催の「イスラエルIoTミッション(2018年9月3日-9月6日)」に参加してきました。イスラエル現地企業との連携及び市場動向把握を目的にプログラムが組まれており、イスラエルの企業訪問やイスラエル最大のスタートアップカンファレンス「DLD(Digital Life Design) Tel Aviv Innovation Festival 2018」に参加してきました。

イスラエルは地中海に面しています。

イスラエルは1948年に建国(今年が建国70年)、人口は887万人(2018年6月時点)、地中海の東に隣接する非常に温暖な地域です。地中海に隣接してリゾートやビジネスの中心地でもあるテルアビブ、世界三大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の聖地が集まるエルサレム、更に海抜-430メートルにある死海等が有名です。温暖な地域から野菜や果物またワインやオリーブオイル等の生産が盛んですが、現在はイノベーションの一大エリアとして世界中から注目を集めています。

今回訪問したスタートアップOurCrowd社

イスラエルのイノベーションの源泉は「5つの連携」にあり、①大学(テクニオン大学、ヘブライ大学、テルアビブ大学)/軍事、②スタートアップ、③資金(VCやエンジェル)、④政府、⑤大企業(Apple、Alphabet、Microsoft、Amazon等もR&Dセンター)が有機的に結びつきながらエコシステムを形成しています。ロシアや東欧からの移民も多く、毎年1000社程度のスタートアップが生まれているため、イスラエルは「第二のシリコンバレー」とも呼ばれています。サイバー、IT、ヘルスケア分野で数多くの技術革新が起こっており、ミニトマトや灌漑等の農業技術、ITの分野では音声技術のViver(楽天が2014年に約900億円で買収)、自動運転技術用カメラを開発するMobileye(Intelが2017年に約1.8兆円で買収)、最近では家庭用炭酸飲料水マシンのソーダストリーム(ペプシコが2018年に約3500億円で買収)等のスタートアップが生まれています。イスラエルのNASDAQ上場企業数は米国につぐ世界第2位の86社(2018年8月時点)、2016年のM&A総額は約3兆円で過去最高額に達しているということです。またマーケットを求めて米国に移るスタートアップも多く、タクシー配車アプリのGettやViaはイスラエル発のスタートアップとなっています。(テルアビブでの注目スタートアップの記事はこちらから)

Altair社にて。Sony Groupであることが明記されています

今回のプログラムでは、スマートフォン向けのIoTチップを開発するAltair社(2016年にSONYが買収)、ビッグデータ活用したアプリ向け広告配信のYouappi社、イスラエルイノベーション庁のIsrael Innovation Authority(IIA)、自動運転技術用カメラを開発するMobileye社、投資のクラウドファンディングを運営するOurCrowd社、知財移転や投資を行うHadasit社を訪問することが出来ました。

DLD(Digital Life Design) Tel Aviv Innovation Festival 2018に登壇スタートアップの集合写真

また9月6–7日はDLD(Digital Life Design) Tel Aviv Innovation Festival 2018に参加してきました。DLDでは、ブロックチェーン、自動運転、ドローン、AI等の先端分野に加えて、パレスチナや女性をテーマにしたトピックス、更にはDeloitteやBarclaysのDemo Day等の幅広い内容からセッションが展開され、外の熱気がそのまま伝わるような熱いイベントでした。イスラエルのスタートアップの特徴は、テクノロジーベースのスタートアップが多く、ExitはM&Aが大半(売却金額は100億円前後)で比較的早期に売却されてしまうことが多いようです。また近年ではスタートアップへの投資資金流入しており、金余りの状況になりつつあり、シリコンバレーとの差は徐々に縮まり始めているということでした。

このイスラエル出張にあわせて「The way of Brain Success(邦題:ユダヤ人の頭の中)」という本を読んだのですが、ユダヤ人の成功の要因として、その歴史が深く関係しており、「外部との連携」が謳われています。今回のイスラエルではまさにその事を実感しました。翻って日本を見てみるとやはり「外部との連携」がまだまだであり、イスラエルから学ぶことが多々ありました。そしてその鍵となるのが「マイノリティ」という意識なのではと感じました。ユダヤ人は歴史的にも常にマイノリティだったため、「連携」せざるを得ず、それがイノベーションに繋がったということです。日本が連携を進める上で、この「マイノリティ」を意識することはすごく大切なのではと感じました。いまの日本の立ち位置をしっかり認識した上で「どのように連携するか(=戦うか)」を真剣に考えることが非常に重要なポイントである気がしました。

ハードウェアの量産化試作支援やスタートアップ向けのサプライチェーンネットワークの構築を行っています。興味のある方は [email protected]までお問い合わせご連絡ください。

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