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#006_MZVトロント進出の舞台裏と製造業スタートアップへの思い

Monozukuri Ventures(以下、MZV)代表の牧野です。 私達は本年(2023年)4月にトロントにオフィスを開設しました。 トロントに進出した理由に関しては、米国でスタートアップ投資を担当している関がブログに記載しています。ただ私達がトロントにオフィスというと「なぜトロントですか?」と聞かれる事が多いです。そこで改めてその理由をお伝えしてみたいと思います。

私達がトロントに進出した理由は大きく3つあります。 1つ目はトロント大学を中心とした先端研究や高度人材の集積にあります。1921年、トロント大学のフレデリック・バンティング氏等がインスリンを発見しました(1923年ノーベル賞を受賞)。こうした成果もありトロント大学では製薬分野で世界の研究を大きくリードしてきました。 近年ではトロント大学のジェフリー・ヒントン氏等の功績もありAIの中心的拠点にもなりつつあります。ヒントン氏は2012年にニューラルネットワークの構築に関する論文を発表し、文章や画像を自動で生成する現在のAIの礎を築いたことから「AIの父」とも言われています(2018年にチューリング賞を受賞)。2013年からはGoogle内でAIの研究を牽引してきました。この期間にChat GPTを開発したオープンAIの開発者など多くの人材を育てたことでも知られています。ヒントン氏は2023年5月にAI開発の危険性を訴えるためにGoogleを退社しましたが、トロントには製薬やAIを中心に非常に有望な人材が集積しているエリアになっています。 2つ目はトロント周辺の製造業との繋がりです。よくトロントのスタートアップエコシステムとして「Toronto-Waterloo」と表現されます。 トロントは五大湖の一つであるオンタリオ湖の北側に位置しており、その水力を活かした製造業が発展した地域でもあります。古くはピッツバーグ のUSスチール、またデトロイトのGMやFord等の自動車産業が発展しました。カナダの製造業拠点の一つがトロントから電車で1時間ほどのウォータールーと呼ばれる地域でここも自動車産業など製造業が発展しています。またかつてウォータールーでは携帯で一世を風靡したブラックベリーを開発していたResearch In Motion社もあります(現在は自動車向けソフトウェア開発に注力)。上述の先端研究や高度人材の集積とあわせて、AIと製造業が連携した新しい産業が生まれる可能性のある地域だと考えています。 本年、トロントで開催された北米最大のテクノロジーカンファレンスCollisionに参加してきました。2023年の参加者は35,000人を超え、世界中からスタートアップや投資家等が集うカンファレンスになっています。今回は「AIが社会や他産業に及ぼすインパクト」が大きなテーマになっていました。 最後に、実は私たちがトロントに拠点を置いた直接的な理由はカナダの移民政策とも関連しています。カナダでは以前から移民政策に積極的であり、トロントの人口は移民により増加しており、現在、北米第3位(1位がニューヨーク、2位がロサンゼルス)の人口規模を誇ります。 現在も人口は増加しており、近い将来、ロサンゼルスの人口を追い抜くと言われています。そのためトロントの街は多様性に富んでおり、ラテン系、アジア系、アフリカ系など幅広い人種が存在しています。実際にCollisionでもジェンダーや人種に関するトピックスも多くトロントという土地柄も大きく影響しているように感じました。私たちにとってビザの政策は非常に重要であり、カナダでのビザの取りやすさが最終的にはトロントに拠点を置いた大きな理由でもあります。 私たちは京都、ニューヨーク、そしてトロントに拠点を持ちました。私たちの会社規模として身分不相応かもしれません。ただ日本から製造業のイノベーションを起こしていくためには、北米のスタートアップとの連携は不可欠だと考えており、私たちがその橋渡し役になりたいと思っています。私たちがこれまで培ってきた経験やネットワーク等を活かして来年には北米スタートアップと日本の製造業企業との繋がるイベントも予定しています。 北米のハードテックスタートアップに関心のある日本の製造企業の方は下記のメーリングリストに登録するなど気軽にコンタクト下さい。 Monozukuri Venturesでは、ハードウェア・ハードテック特化型のVCからみた、製造業・ハードウェア業界動向のご紹介をしています。ご興味のある方はこちらの当社ニュースレターへご登録下さい。

Monozukuri Ventures CEO。愛知県出身、京都に住んで17年。ずっと関西中心にスタートアップに関わる仕事をしています。今は京都の梅小路エリアにてスタートアップ、アーティスト、クリエイターが集うような街づくりにも挑戦中。2児の父親として育児も頑張ってます!!

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