ハードウェア開発の現場を知り尽くしたエンジニアが、スタートアップ支援に挑む

2025.03.11 By techteam

スタートアップや企業の技術課題を解決し、製品化・量産化を成功に導くMonozukuri Ventures(以下、MZV)のテックコンサルティング。その最前線で活躍する赤塚博道氏に、これまでのキャリアや支援の実態、そしてハードウェアスタートアップに求められる要素について伺いました。

—今までの経歴とMZVのテックコンサルティングに参画したきっかけ

大学で電気工学を専攻し、卒業後にソニーに入社しました。ソニーでは、主に映像・音声関連の製品の開発に携わり、最初に取り組んだのがVTR製品開発でした。当時は、いわゆる「VHS対β戦争」の真っ只中で、技術的競争が激しい時期でした。その後は、レーザーディスクプレイヤー、CDプレイヤー、DVD、ブルーレイといった次世代製品の設計・開発に従事しました。 後半はプロジェクトマネージャーとして製品開発全体を統括するようになり、2008年からはDVD関連製品の統括部長として事業責任者を務めました。技術的なスキルだけでなく、事業の原価計算や中期計画の策定といった経営的な視点を養えたのも、この時期の大きな収穫です。 次に転職したのが紀州技研工業で、開発本部長として産業用インクジェットプリンターの開発に携わりました。ソニー時代とは異なる分野のプロダクトでしたが、製品開発の基本プロセスや品質管理の考え方には共通点が多く、これまでの経験を活かして取り組むことができました。 その後、健康器具を扱うドリームファクトリーに転職し、中国のOEM/ODMメーカーを活用した製品開発を担当しました。それまで自社開発が中心だった私にとって、OEM/ODMを活用した製品開発は新しい経験でした。この経験を通じて、仕様の正確な伝達の重要性や、技術的な背景を持つことの必要性を強く感じました。技術的なバックグラウンドがないと、トラブルが起きた際に原因を正確に特定できず、OEMメーカーの言いなりになるリスクがあるからです。 2022年2月にMZVに参画しました。それまでコンサルティングの経験はなく、不安もありましたが、自分がエンジニアとして培ってきた知識や経験を、社会に還元したいという想いが大きく、新しい挑戦として取り組むことにしました。

—MZVのテックコンサルティングで行っている支援について

MZVでは、モノづくりスタートアップや大企業に対して技術的なサポートを提供しています。スタートアップの支援では、特に製品化や量産化に向けたプロセスを構築し、課題解決を行うことが多いです。 例えば、現在支援している株式会社モーリス(株式会社モーリス実績)は、呼吸器センサーを用いた見守りシステムの開発を進めているスタートアップです。彼らは技術検証の段階を終えていましたが、製品化や量産化に必要な経験やノウハウが不足していました。そこで私たちが設計プロセスやプロジェクトマネジメントの支援を行い、商品化までの道筋を一緒に作っています。モーリスでは、自前で製品の開発を行っています。スタートアップが自前で製品を開発する場合、リソースや経験不足から課題が多く、そこを私たちが補う形です。 また、大企業向けの支援も行っています。株式会社イトーキ(株式会社イトーキ実績)の事例では、新規事業においてこれまで扱ったことのない技術を基に製品化を進める中で発生した技術トラブルを解決する役割を担いました。このように、企業の技術的な課題に対し、具体的な解決策を提案し、プロジェクトを前に進めることが私たちの役割です。

—赤塚さんの考える、ハードウェアスタートアップに求められるもの

まず大切なのは、「ものを作ってみる」という姿勢です。スタートアップが自前で製品を開発する場合には、開発スケジュール管理や技術的背景を持ったプロジェクト推進力が求められます。一方、OEM/ODMを活用する場合には、技術的なバックグラウンドに基づいてOEMメーカーを管理・選定する力が必要です。また、OEM/ODMを活用する際は、開発委託資金が必要になるため、練り上げられたビジネスモデルによる資金調達力も重要となります。 さらに、事業を成長させるには「ものの売り方」を考える必要があります。マーケティングを含むビジネスプランを練り上げ、投資家や市場に対して説得力を持たせる力も重要です。

MZVのテックコンサルティングチームでは、スタートアップや企業が抱える技術的な課題を解決し、効率的に事業を立ち上げるサポートをしています。具体的には、プロジェクトの進行管理、プロトタイプ製作、量産化支援など、製品開発の各段階で手厚い支援を行っています。 まずは、こちらからお気軽にご相談ください。

1958年、愛知県生まれ。1981年、岐阜大学工学部電気工学科卒。同年、ソニーに入社。1981年から1998年までは電気エンジニアとして、レーザーディスクプレーヤー、DVDプレーヤーのビデオ回路設計を担当。その後はプロジェクトマネージャーとしてホームシアターやブルーレイレコーダーなどのAV機器の商品開発を行う。2008年からは統括部長としてDVD関連製品の事業責任者を担当。2014年からは紀州技研工業にて開発本部長として産業用インクジェットプリンターやインク等の開発を行う。2018年からはドリームファクトリーにて開発責任者としてフィットネス、健康機器等を中国のOEM/ODMを活用して開発。2022年より現職。

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