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【米国VC投資動向レポート: 2023年6月】シードおよびシリーズA以降の投資金額は最低水準を推移。シードの投資件数の減少が止まらず| Monozukuri Ventures
今回のレポートでは、2023年6月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。 5月のレポートはこちらからご覧ください。 ※2023年5月以降、事業会社からの出資を反映させた集計方法に変更し、各ラウンドにおける投資動向のグラフを変更しています。なお、投資動向のグラフはハードウェア企業・ソフトウェア企業に関係なく米国全体の動向を示しています。
プレシード・シードの動向
2023年6月のプレシード・シードの投資では、プレシード・シードの投資件数は5月に続き、ともに2020年以降で過去最低となりました。プレシード・シードの投資金額でも最低水準となりました。プレシードのみの投資動向でも突発的な出来事(2023年4月のY Combinator参加スタートアップへの出資)などがない限り、2022年から投資件数は減り続けており、投資金額も2020年並みの水準まで落ち込んでいます。MindsDBやHopewell Therapeuticsなど約2500万ドルの大きな資金調達をしたシード期の会社も存在します。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。
しかし、米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)
出典:Crunchbaseデータベース
米国全体のプレシードのみの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)
出典:Crunchbaseデータベース
1. Config(調達額:500万ドル)
Configは、ハードウェア開発チームが製品設計と製造を効率的に行うためのクラウドベースのプラットフォームを開発している会社です。NX、SolidWorks、AltiumなどのCADソフトウェアと直接互換性があり、設計の管理、変更のコミット、設計の改訂を行うことが出来ます。また、エンジニアリングアセンブリからワンクリックで部品表を作成することも可能です。
出典:Config 公式HP
2.N5 Sensors(調達額:250万ドル)
N5 Sensorsは、環境の危険から生命とインフラを保護するためのセンサーとソリューションを提供しています。「Digital Gas Sensor Module」、「ChemNode」、「ChemBadge」などの製品があります。
Digital Gas Sensor Moduleは、有毒ガスや環境汚染物質を選択的に検出するための低電力のシステムオンボードソリューションです。 ChemNodeは、クラウドベースの早期脅威検出および警告システムで山火事の迅速な検出や位置特定、追跡を可能にします。 ChemBadgeは、特許取得済みの半導体光触媒ハイブリッドアレイセンサーテクノロジーと機械学習アルゴリズムを利用したウェアラブル化学脅威検出プラットフォームで有毒化学物質や化学薬品、危険な環境によってもたらされる脅威をリアルタイムで警告します。3.LandSkyAI(調達額:20万ドル)
LandSkyAIは、AIとロボティクスを使用して、産業やセキュリティの問題を解決する自律型ソリューションを提供する会社です。定期サブスクリプションサービスであるLandSky as a Serviseでは、24時間365日の自律ソリューションを顧客に提供します。Vision AIは、リアルタイムで何千もの画像を処理し精密な予測モデルを立てるため、自律パトロールや配送自動化など数多くの用途に適用できます。
これらの強みを活かし、LandSkyAIは、OTSAWと提携してラストマイル配達用の自律型ロボットソリューションであるCamelloとの統合やドローンの開発、消毒システムであるHealth Guardなどの提供を進めています。シリーズA以降の動向
2023年6月のシリーズA以降の投資では、投資件数および投資金額はともに最低水準となっています。プレシード・シードと同じく資金調達環境は厳しい状況が続いています。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。
米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)
出典:Crunchbaseデータベース
1.Electronic Caregiver(調達額:9500万ドル)
Electronic Caregiverは、治療アドヒアランス、健康状態の改善、機能寿命の延長に重点を置き、個人がケアとサポートを受ける方法を変革し、より健康でより自立した生活を送れるようにすることを目指す会社です。
Virtual CaregiverであるAddisonは、信頼できるケアのコンパニオンとして機能します。服薬遵守を確保し、慢性疾患管理、リハビリテーション、ケア調整などを提供するための3Dアニメーションの先進的なケアギバー(介護者)です。また、アプリと統合された健康ダッシュボードを通じて自動的に保存および共有する血圧カフやパルスオキシメーター、GPSや服薬リマインダーなどを通して24時間365日の緊急対応と自動健康調査を行うモバイルデバイスなどがあります。2.Pixxel(調達額:3600万ドル)
Pixxelは、ハイパースペクトルイメージング小型衛星群を構築し、地球規模で実用的な気候に関する洞察を提供する企業です。ハイパースペクトルイメージングは、各ピクセルに原色(赤、緑、青)を割り当てるだけでなく、光の広いスペクトルを分析する技術です。
今日の衛星では見えない問題を検出するために、数百の波長でデータをビームダウンするように独自設計されています。Pixxelの衛星からのデータでは、排出量、水質汚染、ガス漏れ、石油流出、土壌組成、森林の生物多様性、作物の健康状態などを詳細かつ高速で綿密に監視できます。2024年に6機の衛星を打ち上げ、2025年までに他の18機の衛星を打ち上げる予定です。出典:Pixxel 公式HP
3.Sintavia(調達額:2000万ドル)
Sintaviaは、航空、防衛、宇宙産業向けの機械システムとコンポーネントを設計・積層造形する会社です。熱間静水圧プレス、真空熱処理炉、工業用CTスキャナー、ワイヤ放電加工機、機械試験装置(高温引張試験、疲労試験、クリープ試験など)を完備した高速プリンターを併設しており、冶金試験等が可能です。また、走査型電子顕微鏡や誘導結合プラズマ発光分光計を含む実験室やマイクロパウダー実験室を備えているため、迅速にパラメーターを最適化し、連続製造可能で品質を監査することができます。
※産業の区分:What Industries are included in Crunchbase?
ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。
来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。
調査:投資部門インターン藤本
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【米国VC投資動向レポート: 2023年5月】シードおよびシリーズA以降の投資件数はともに減少
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