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【米国VC投資額レポート: 2023年7月】シードおよびシリーズA以降の投資件数・投資金額ともに引き続き最低水準 | Monozukuri Ventures

今回のレポートでは、2023年7月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。6月のレポートはこちらをご覧ください。 ※2023年5月以降、事業会社からの出資を反映させた集計方法に変更し、各ラウンドにおける投資動向のグラフを変更しています。なお、投資動向のグラフはハードウェア企業・ソフトウェア企業に関係なく米国全体の動向を示しています。

プレシード・シードの動向

2023年7月のプレシード・シードの投資では、プレシード・シードの投資件数は5月に続き、ともに2020年以降で過去最低を更新しています。プレシード・シードの投資金額でも最低水準となっており、回復の兆しが見られない状況が続いています。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1.Blue Laser Fusion(調達額:2500万ドル)

Blue Laser Fusionは、独自のレーザー/核融合炉の技術をもとに、レーザー核融合の商用化を目指す会社です。Blue Laser Fusionは、独自のハイパワーレーザー発生方式、中性子を発生しないHB11燃料の組み合わせに基づくレーザー核融合方式を採用する方針を掲げています※1。カリフォリニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授をCEO、早稲田大学ベンチャーズの太田裕朗共同代表をCTOとしてカリフォルニア州に設立されました。今回の調達では、SPARXやJAFCOがリード投資家を務めました。

出典:Blue Laser Fusionニュース

2. Harvest Thermal(調達額:250万ドル)

Hervest Thermalは、スマート コントローラーを使用して、家庭向けの超効率的な全電化暖房ソリューションを提供している会社です。暖房と温水は家庭のエネルギー使用量の3分の2を占め、メタンガスを動力源とする場合、住宅の中では最も大きな二酸化炭素排出源になります。Hervest Thermalの熱電池システムは、最も安価でクリーンな電力を利用して炭素を削減し、月々の光熱費を削減し、完全に再生可能な電力網をサポートします。

出典:Harvest Termal 公式HP

3. WAVS Custom(調達額:35万ドル)

WAVS Customは、独自特許取得済みのプロセスにより、顧客が携帯電話から耳の3Dスキャンを得ることによって、カスタムフィットのイヤホンとIEMを手頃な価格で提供している会社です。IEMは耳甲介/外耳に完全にカスタム化されており、外耳道を密閉するユニバーサルチップを利用しながら、その外側で安全な保持と密閉を提供します。

出典: WAVS Custom 公式HP

シリーズA以降の動向

2023年7月のシリーズA以降の投資では、投資件数および投資金額はともに最低水準となっています。プレシード・シードと同じく資金調達環境は厳しい状況が続き、回復の兆しが見られません。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1. Benchmark Space Systems(調達額:3326万ドル)

Benchmark Space Systemsは、小型衛星アプリケーション向けの推進ソリューションを提供する航空宇宙会社です。Benchmark Space Systemsの製品には、化学推進システム、衝突回避キット、電気推進システム、冷ガスシステム、双極性システムなどがあります。また、これらのシステムは、輸送や保管が無毒で不活性な化学物質を使用しているため、幅広い顧客にとって魅力的なものとなっています。

出典:Benchmark Space Systems 公式HP

2. VitalConnect(調達額:3000万ドル)

VitalConnectは、遠隔患者モニタリング用に設計されたウェアラブルバイオセンサー技術を開発している会社です。VitalConnectの製品は、すべての患者データを安全なクラウドに瞬時に送信する心臓モニタリングテクノロジーを使用しており、21の異なる心臓不整脈のモニタリングと患者バイタルのリアルタイムモニタリングが可能です。また、複数の患者を同時に監視して、ケアの優先順位付けの早期警告スコアや転倒の検出を行うことができるソリューションも提供しています。

出典:VitalConnect 公式HP

3. Simbe Robotics(調達額:2800万ドル)

Simbe Roboticsは、在庫切れの商品、在庫の少ない商品、置き忘れられた商品、および価格設定の誤りがないかなどの棚の監査と分析をする自動化ソリューションを提供する会社です。自律型在庫ロボット「Tolly 3.0」は、Intel Realsense 3Dカメラを搭載したオートフォーカス、自動露出、HDRカメラシステムを組み合わせて店舗環境をナビゲートし、分析します。1 時間あたり15,000 ~ 30,000個の製品を集計します。

出典:Simbe Robotics公式HP

※産業の区分:What Industries are included in Crunchbase?

ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。

※1 米国核融合スタートアップBlue Laser Fusion Inc.が初回の資金調達を実施

来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。

調査:投資部門インターン藤本

🔳前月レポートはこちら

【米国VC投資額レポート: 2023年6月】シードおよびシリーズA以降の投資金額は最低水準を推移。シードの投資件数の減少が止まらず

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