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【米国VC投資額レポート: 2023年11月】アーリーステージでは回復の兆しは続くものの、レイターステージは伸び悩みか | Monozukuri Ventures

今回のMonozukuri Ventures(以下「MZV」)レポートでは、2023年11月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。 10月のレポートはこちらをご覧ください。 ※2023年5月以降、事業会社からの出資を反映させた集計方法に変更し、各ラウンドにおける投資動向のグラフを変更しています。なお、投資動向のグラフはハードウェア企業・ソフトウェア企業に関係なく米国全体の動向を示しています。

プレシード・シードの動向

2023年11月のプレシード・シードの投資では、シードの投資金額は増加したものの、投資件数は先月に比べて減少しています。プレシードの投資件数・金額は引き続き低水準を推移しています。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1. The Cumulus Coffee Company(調達額:2030万ドル)

The Cumulus Coffee Companyは、家庭用の冷たいコーヒーマシンを開発している会社です。The Cumulus Coffee Companyのマシンは、新しく発明されたテクノロジーとリサイクル可能なアルミニウムカプセルを使用しているためボタンを押すだけで 45 秒以内にコールド ブリュー、ニトロ コールド ブリュー、コールドプレス エスプレッソが提供できます。この独自の醸造プロセスにより、氷を使わずにさわやかな冷たい飲み物が作られ、かさばる窒素ガスを必要とせずにニトロコールドブリューが作られます。

出典:The Cumulus Coffee Company 公式HP

2.Datafeel(調達額:17万ドル)

Datafeelは、コミュニケーションや治療に幅広く応用できる触覚技術を商業化することで、人間のパフォーマンスを向上させることに取り組んでいる B2B 企業です。Datafeelの中核技術は、6つの公開特許でサポートされるマルチエネルギー発生器である 「DataFeelアレイ」です。皮膚に接触して配置された複数のドットは、マルチエネルギー技術へのポイントベースのアプローチを使用して、さまざまなエネルギーを出力するように動作します。

出典:Datafeel 公式HP

3. Phood(調達額:14.9万ドル)

Phoodは、食品廃棄物の削減を目的とした、AI を活用した食品廃棄物防止プラットフォームを開発している会社です。このプラットフォームは、データ分析と人工知能を活用して、レストランなどの企業が購入、調理し、冷蔵庫や棚に保管している食品を捕捉し、食品廃棄物を半分に削減し、食品を支援します。

出典:Phood 公式HP

シリーズA以降の動向

2023年11月のシリーズA以降の投資では、投資件数・投資金額ともに先月から減少しました。2023年8月以降に回復傾向になる可能性が少し見えたものの、今月は低水準並みの推移となりました。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1. Firefly Aerospace(調達額:3億ドル)

Firefly Aerospaceは、小型ペイロード向けの打ち上げロケット、宇宙船、宇宙内サービスを提供している会社です。先進的なカーボン複合構造、特許取得済みの推進技術、車両全体の共通コンポーネントを活用することで、より手頃な価格で応答性が高く、信頼性の高い宇宙アクセスを提供します。ロッキード・マーチン社が開発した電子操縦アンテナ(ESA)ペイロードを配備し、米国戦闘機への軌道上能力の迅速な提供を実証する「フライ・ザ・ライトニング・ミッション」が12月20日に予定されていましたが、悪天候のため2日延長して行われました。

出典:Firefly Aerospace 公式HP

2.Halio(調達額:7000万ドル)

Halioは、ガラスを自動またはコマンドに応じて、透明から色付きにしたり、暗めに変化させたりする、応答性が高くインテリジェントで美しい建築要素技術を開発する会社です。また、Halioのガラスには、気密封止された透明なガラスのシートに音響エレクトロクロミック技術がラミネートされ挟まれています。

出典:Hailo 公式HP

3.AM Batteries(調達額:3000万ドル)

AM Batteriesは、無溶剤電極製造技術を使用してリチウムイオン電池を開発している会社です。AM Batteries の乾電池電極 (DBE) プロセスでは、「powder to electrode」 手法が使用されているため、電極の乾燥と溶媒回収の必要性がなくなり、電池電極を作成するためのステップ数が 7 ステップから 4 ステップに削減されます。これにより、化学物質の量と電極製造プロセス全体の二酸化炭素排出量を大幅に削減できます。また、今回のラウンドはToyota Ventures が主導しました。

出典:AM Batteries 公式HP

※産業の区分:What Industries are included in Crunchbase?

ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。

来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。

調査:投資部門アソシエイト藤本真由

🔳前月レポートはこちら

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