【米国VC投資額レポート: 2024年1月】アーリーステージ、レイターステージともに低水準 | Monozukuri Ventures

今回のMonozukuri Ventures（以下「MZV」）レポートでは、2024年1月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。 2023年12月のレポートはこちらをご覧ください。 2023年5月以降、事業会社からの出資を反映させた集計方法に変更し、各ラウンドにおける投資動向のグラフを変更しています。なお、投資動向のグラフはハードウェア企業・ソフトウェア企業に関係なく米国全体の動向を示しています。

プレシード・シードの動向

2024年1月のプレシード・シードの投資では、プレシードの投資件数は先月より増加した一方で、投資金額は減少しました。シードの投資件数・金額はともに前月より減少しています。投資金額は低水準ですが、投資件数は一時に比べると微増しているので、今後の動向に注目です。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のプレシード・シードの投資動向（棒グラフ：投資額、折れ線グラフ：投資件数）

出典：Crunchbaseデータベース

1. Neatleaf（調達額：400万ドル）

Neatleafは、栽培された植物の樹冠を歩き回り、センサーと高解像度のカメラのセットで独自のデータを収集することで農業支援を行うロボットを開発する会社です。ロボットが収集するデータにより、栽培環境内でストレス症状が現れる場所を自動的に特定することができます。また、ストレス症状の種類を特定し、その有病率を評価することもできます。

出典：Neatleaf 公式HP

2. NanoPattern Technologies（調達額：169万ドル）

NanoPattern Technologiesは、次世代ディスプレイを可能にする光パターン化可能な量子ドット配合を開発する会社です。UV光の照射または加熱により、ナノ粒子をさまざまな溶媒に分散させるリガンドという物質が分解または化学変化することで溶解度が変化します。そのため、追加の樹脂や光酸発生剤を必要とせずに、あらゆるナノ粒子を光パターン化可能なインクに変換することができます。パターン化されたフィルムの高い充填密度はエレクトロニクス産業で多くの用途があり、次世代エレクトロニクスのためのナノマテリアルの可能性を拡大します。

出典：NanoPattern Technologies 公式HP

3. NextVein（調達額：32.5万ドル）

NextVeinは、臨床医が静脈を迅速かつ正確に位置特定できるようにする、手頃な価格のハンドヘルド静脈ファインダーを開発する会社です。静脈の画像を患者の皮膚に投影するため、臨床医は静脈をより明確に確認できます。

出典：NextVein 公式HP

シリーズA以降の動向

2024年1月のシリーズA以降の投資では、投資件数・投資金額ともに先月から微増しているものの、低水準で推移しています。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のシリーズA以降の投資動向（棒グラフ：投資額、折れ線グラフ：投資件数）

出典：Crunchbaseデータベース

1. Sion Power（調達額：7500万ドル）

Sion Powerは、リチウム金属バッテリーを開発している会社です。従来のリチウムイオン電池と比較して、同じサイズ・同じ重量の電池で 2 倍のエネルギーを発揮します。また、極薄のリチウム層を作成するSion Powerの蒸着リチウムプロセスは、コストを削減し、先進的な電池の市場投入を加速する方法を提供します。Sion Powerは、EV用の多層6Ah～20Ahリチウム金属セルを1万8000個生産した実績があります。

出典：Sion Power公式HP

2. Burro（調達額：2400万ドル）

Burroは、農場労働者と一緒に働き、屋内と屋外の両方で作業が出来る自律型ロボットを開発する会社です。Burroの製品は、IP65 等級に準拠しており、実際の現場条件に特有の酷使に耐えながら、摂氏 40 度以上の温度で 1 日中動作するように設計されています。また、最大1,500ポンドまでの荷物を快適に運び、最大5,000ポンドまで牽引可能です。

出典：Burro 公式HP

3. Neocis（調達額：2000万ドル）

Neocisは、FDAの認可を受けた歯科手術用ロボットシステム「Yomi」を開発している会社です。患者の口の空間を詳細に把握し、ロボットアームが歯科医を正確な位置と角度に「ガイド」して穴あけを行うなど、インプラント埋入のすべての段階を通じて臨床医を支援します。インプラント治療は、口や顎の骨を含む患者の頭蓋骨のCTスキャンから始まります。 CT スキャンは「Yomi」に送信され、非常に詳細な 3D 画像が表示されます。その画像を使用して、歯科医と「Yomi」はインプラントの正確な位置、深さ、角度について視覚的な計画を立てます。