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【米国VC投資動向レポート: 2024年2月】アーリーステージ、レイターステージともに増加 | Monozukuri Ventures
今回のMonozukuri Ventures(以下「MZV」)レポートでは、2024年2月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。 2024年1月のレポートはこちらをご覧ください。 2023年5月以降、事業会社からの出資を反映させた集計方法に変更し、各ラウンドにおける投資動向のグラフを変更しています。なお、投資動向のグラフはハードウェア企業・ソフトウェア企業に関係なく米国全体の動向を示しています。
プレシード・シードの動向
2024年2月のプレシード・シードの投資では、プレシード・シードともに投資額・投資件数は先月より増加しています。日ごとの投資動向を見ると、27日に投資件数が増加しています。これはY CombinatorのWinter 2024に参加したスタートアップへの出資が多く入ったためです。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。
米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)
出典:Crunchbaseデータベース
日ごとの米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)
出典:Crunchbaseデータベース
1. Elemind Technologies(調達額:1200万ドル)
Elemind Technologiesは、独自のアルゴリズムと人工知能を使用して非侵襲的な方法で健康を改善する、ウェアラブル分野で脳神経科学を活用したニューロテック・プラットフォームを提供する会社です。
Elemind Technologiesは、2019年からステルスで(会社の取り組みを秘密にして)技術の研究と開発を行ってきていました。ウェアラブル・ニューロテックは、個人の脳波を読み取り、カスタマイズされた刺激で応答することでリアルタイムで脳波を導き、医薬品よりも安全で、より的を絞った自然な方法であり、望ましい状態が達成されるまで身体の反応に基づいて刺激を微調整する、薬物を使用しない個別化された適応的なアプローチです。2. Jaia Robotics(調達額:118万ドル)
Jaia Roboticsは、データ収集とペイロード配信を目的とした、低コストの超小型高速ハイブリッド自律の水中ロボットを開発する会社です。この車両は非常に持ち運びが容易で、サーフゾーン、川岸、波止場、水上バイクなど、ほぼどこからでも発射できます。JaiaBot システムはモジュール式であり、さまざまなセンサーとペイロードを迅速に統合できます。
3.Tigeraire(調達額:82万ドル)
Tigeraireは、熱から人々を守るスマート機器テクノロジーを開発する会社です。気温が華氏90度(摂氏32度)に達すると、生産性が25%以上低下することが研究で示されています。その結果、2021年だけで25億時間の産業労働が熱暴露により失われたと言われています。しかし、冷却によって労働者の生産性を最適なレベルに回復できるとも言われています。そこでTigeraireは、可変速度制御を備えた軽量な冷却空気のフローを提供します。アスリート、産業労働者、アウトドア愛好家などの人々のために涼しく、より快適な環境を作り出すために活動しています。
シリーズA以降の動向
2024年1月のシリーズA以降の投資では、先月に比べてシリーズAの投資額は減少しているものの、シリーズB以降では投資額・投資件数ともに増加しています。投資額が増加した要因としては、The Walt DisneyがEpic gamesへ15億ドルを出資したことが挙げられます。投資件数に関しては、全体的に増加している傾向が見られました。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。
米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)
出典:Crunchbaseデータベース
日ごとの米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)
出典:Crunchbaseデータベース
1.Avation Medical(調達額:2200万ドル)
Avation Medicalは、過活動膀胱症候群によって引き起こされる切迫性尿失禁および尿意切迫Avation Medical感に苦しむ患者のための解決策を提供する会社です。過活動膀胱によって引き起こされる尿意切迫感や失禁の場合、神経調節によって膀胱の排尿筋に対する脳のはたらきが変化すると考えられています。Avation Medicalは、脛骨神経にパーソナライズされた神経調節エネルギーを提供するインテリジェント コントローラーを搭載した、足首に着用する製品を提供しています。この神経調節療法により、心臓ペースメーカーが心拍リズムの問題を修正するのと同じように、体の正常な機能を回復するのに役立ちます。
2.AtmosZero(調達額:2100万ドル)
AtmosZeroは、空気中にすでに存在する熱を脱炭素蒸気に変換するモジュール式の電気ボイラーを開発する会社です。独自技術で空気から熱を取り出し、摂氏200度以上のカーボンニュートラル蒸気を提供します。電力1kWhごとに最大2kWhの蒸気を供給できるため、現在の電気ボイラーの半分の電力で2倍の効率を実現しています。
3.Elve(調達額:2000万ドル)
Elveは、ミリ波TWTアンプを開発している会社です。TWTは、広範囲の周波数にわたって信号を増幅する真空電子デバイスの一種です。真空電子は、ミリ波およびサブテラヘルツ周波数の信号を高効率で生成または増幅できる電子デバイスの 1 つです。TWTは、電子放出と集束セクションで構成され、電子流をRF回路セクションに送り、そこで電磁波が電子ビームと相互作用して信号を増幅します。Elve は、粉末合成から電子エミッタ材料を製造します。特許取得済みのナノコンポジットスカンデートタングステン材料がアルミン酸バリウムカルシウムの母材として使用されており、低い動作温度でも高い電子放出を実現し、かつ高性能デバイスの動作寿命を延ばしています。
出典:Elve 公式HP
What Industries are included in Crunchbase?
※産業の区分:ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。
来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。
調査:投資部門アソシエイト藤本真由
■前月レポートはこちら
【米国VC投資動向レポート: 2024年1月】アーリーステージ、レイターステージともに低水準
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