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【米国VC投資動向レポート: 2024年3月】アーリーステージで増加 | Monozukuri Ventures

今回のMonozukuri Ventures(以下「MZV」)レポートでは、2024年3月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。 2024年2月のレポートはこちらをご覧ください。 2023年5月以降、事業会社からの出資を反映させた集計方法に変更し、各ラウンドにおける投資動向のグラフを変更しています。なお、投資動向のグラフはハードウェア企業・ソフトウェア企業に関係なく米国全体の動向を示しています。

プレシード・シードの動向

2024年3月のプレシード・シード投資では、プレシード・シードともに投資額は先月より増加、シードのみ投資件数が増加しています。日ごとの投資動向を見ると、1日に投資件数が増加しています。これは、2月に引き続き3月もY Combinatorからの出資があったためです。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

日ごとの米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1.Orchard Robotics(調達額:380万ドル)

Orchard Roboticsは、ロボットとAIにより精密農業を可能にするオペレーティング・システムを開発しています。Orchard Roboticsはコーネル大学からスピンアウトしたスタートアップです。高度なカメラシステムとコンピュータービジョン用ソフトウェアにより、目視で確認できるあらゆる木の果実の正確なデータを収集します。このデータは農業生産者、包装業者、販売業者により活用され、作物の収穫量やサプライチェーンを管理します。

出典:Orchard Robotics 公式HP

2.Fluent Metal (調達額:320万ドル)

Fluent Metalは、より高機能で経済的かつ環境負荷の少ない金属部品の製造に適した液体金属3Dプリント技術を開発している会社です。Fluent Metalの液体金属3Dプリント技術は、高い応用性と工程調整が可能である点が特長であり、高品質な金属積層造形を実現可能にします。耐熱性が高いほとんどの金属および合金のプリントが可能で、複数の金属を同時に印刷することもできます。

出典:Fluent Metal 公式HP

シリーズA以降の動向

2024年3月のシリーズA以降の投資では、先月に比べてシリーズAでは投資額・投資件数ともに増加、シリーズB以降では投資額は減少、投資件数は増加しています。シリーズAの投資額が増加した要因としては、21日にMirador Therapeuticsが4億ドルを資金調達したことが挙げられます。投資件数に関しては、全体的に増加している傾向が見られました。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

日ごとの米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1.Lightshift Energy(調達額:1億ドル)

Lightshift Energyは、公益事業規模の蓄電池を開発している会社です。さらにLightshift Energyの蓄電システムは、対応に数分かかることもある従来の化石燃料発電とは異なり、瞬時かつ効率的に顧客に電力供給を行うことができます。今日の電力需要の急増と再生可能エネルギーへの意欲の高まりは、従来の電力インフラに負担をかけ、供給やコスト面などに関する大きな課題を生み出しています。 Lightshift Energyの蓄電システムは、これらの課題を解決し、電力会社の供給需要増加の問題を解決します。また、停電時や悪天候時といった緊急活動時にも継続的に電力供給ができるようになっております。

出典:Lightshift Energy 公式HP

2. Carlsmed(調達額:5250万ドル)

Carlsmedは、脊椎手術の際に患者データとAIを活用して最適な手術計画を作成し、患者ごとにパーソナライズされた脊椎固定装置を製造している会社です。今回の資金調達により、2025年発売予定の腰椎固定術用のパーソナライズ脊椎手術プラットフォームの商品化と頸椎固定装置の開発を加速させる予定です。

出典:Carlsmed 公式HP

3. Maybell Quantum Industries(調達額:250万ドル)

Maybell Quantum Industriesは、量子力学を利用して複雑な問題を従来のコンピュータよりも高速に解決する量子コンピューティングを行えるハードウェアを製造している会社です。量子技術は急速に進化していますが、その革命を支えるコンピュータはそれに追いついていません。また量子コンピュータ用希釈冷凍機は、使用方法が難しく、信頼性が低いことで有名であり、性能を上げる事が難しいという課題があります。Maybell Quantum Industriesが設計した希釈冷凍機「The Fridge」は、小さい設置面積で、高パフォーマンスを実現します。また、ベース温度を10mK未満に抑えることができ、最も厳しい性能基準を上回っています。

出典:Maybell Quantum Industries 公式HP

※産業の区分:What Industries are included in Crunchbase?

ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。

来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。

調査:投資部門インターン 野原多朗 / アソシエイト 藤本真由

■前月レポートはこちら

【米国VC投資動向レポート: 2024年2月】アーリーステージ、レイターステージともに増加

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