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【米国VC投資動向レポート: 2024年6月】シードの投資件数は引き続き低水準 | Monozukuri Ventures

今回のMonozukuri Ventures(以下「MZV」)レポートでは、2024年6月のプレシード・シードとシリーズA以降、それぞれの投資動向と注目企業を紹介します。 2024年5月のレポートはこちらをご覧ください。 2023年5月以降、事業会社からの出資を反映させた集計方法に変更し、各ラウンドにおける投資動向のグラフを変更しています。なお、投資動向のグラフはハードウェア企業・ソフトウェア企業に関係なく米国全体の動向を示しています。

プレシード・シードの動向

2024年6月のプレシード・シード投資では、投資額と投資件数ともに先月より増加しましたが、プレシードの投資件数は、引き続きこの4年間で最低水準です。これは生成AI系で大型のシード投資が続いているためと見られます。 日ごとの投資動向を見ると、25日に投資額が増加しています。これは、新たなタンパク質生成AIの開発を目指すEvolutionaryScaleがシードラウンドで1億4200万ドルの資金調達を行ったためです。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

日ごとの米国全体のプレシード・シードの投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1.Eyebot(調達額:600万ドル)

Eyebotは、ボタンを押すだけで視力検査ができる機器を開発している会社です。アメリカでは、半数以上の人々が眼鏡やコンタクトレンズを使用していますが、購入するためには眼科医による視力検査が必要です。しかし、地方では眼科医が不足しており、予約を取るのに数週間かかることもあります。Eyebotは、この問題を解決するために、眼科医の介入なしで視力検査を行い、処方箋を発行できる機器を開発しています。この機器での検査時間を約90秒まで短縮することに現在取り組んでいます。

出典:Eyebot 公式HP

2.ReVert Technologies(調達額:109万ドル)

ReVert Technologiesは、AIとユーティリティ・グリッド分析を使用して、プラグインされた電子機器への電力供給を自動化し、二酸化炭素排出量を削減するスマート電源アダプターを製造しています。このAI搭載アダプターは、使用者の行動や地域の電力網の電気料金を学習し、不要な電化製品を自動的にオフし、必要になる前にオンにする機能を備えています。すでに、大学やホテルでも導入が進んでいます。

出典:ReVert Technologies 公式HP

シリーズA以降の動向

2024年6月のシリーズA以降の投資では、シリーズB以降の投資額が先月に比べて減少しました。投資件数に関しては、先月に比べシリーズAでわずかに増加していました。日ごとの投資動向を見ると、12日に投資額が増加しています。これは、ゼネラル・モーターズ(GM)がサンフランシスコとオースティンで完全自律型のドライバーレスのロボタクシー・サービスを商業化した子会社Cruiseに8億5000万ドルの追加出資を行ったためです。 MZVの投資領域であるハードウェア領域の注目企業は以下のとおりです。

米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

日ごとの米国全体のシリーズA以降の投資動向(棒グラフ:投資額、折れ線グラフ:投資件数)

出典:Crunchbaseデータベース

1.Sila Nanotechnolog(調達額:4500万ドル)

Sila Nanotechnologiesは、電気自動車用のリチウムイオン電池を製造している会社です。主な製品はシリコンベースのアノード材料で、従来のグラファイトアノードに比べてエネルギー密度が20%以上高いのが特徴です。また、生産時に発生する二酸化炭素排出量を1kWhあたり50〜70%抑えることが可能です。 この技術により、電動車両のバッテリー寿命と充電効率が大幅に向上します。また、既存のリチウムイオン電池製造プロセスにも適応可能で、費用対効果の高いバッテリー製造を実現できます。Sila Nanotechnologiesは、パナソニックエナジー株式会社とも提携しています。

出典:Sila Nanotechnologies 公式HP

2.GrayMatter Robotics(調達額:2500万ドル)

GrayMatter Roboticsは、製造業における表面仕上げ作業のためのスマートロボットを開発している会社です。この全自動表面仕上げシステムは、AI搭載のロボットがあらゆる形状の部品に対しても自律的にプログラミングを行い、研削、研磨、塗装、検査などの作業を行うことができます。 また、このシステムは年間料金で利用できるため、設備投資のリスクを軽減することができます。

出典:GrayMatter Robotics 公式HP

3.Vecna Robotics(調達額:4000万ドル)

Vecna Roboticsは、物流や製造業向けの自律移動ロボットを開発している会社です。主な製品には、フォークリフト、牽引機、ハンドリフトなどがあります。これらのツールをロボットとして自動化することで、倉庫内でのピッキング、搬送、補充作業の作業効率を向上させます。その結果、労働力不足の解決やサプライチェーンの安定化を実現します。

出典:Vecna Robotics 公式HP

※産業の区分:What Industries are included in Crunchbase?

ハードウェアとの関連が見られない企業が含まれていることがありますが、Crunchbase の分類に従い集計しています。

来月以降も米国のVC投資動向を公開予定です。

調査:投資部門インターン 野原多朗 / アソシエイト 藤本真由

■前月レポートはこちら

【米国VC投資動向レポート: 2024年5月】投資額は増加したものの件数は下落

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